全国的に増加を続ける企業倒産(9月で11ヶ月連続前年同月実績を上回る)ですが、この中部地区においても増加傾向にあります。全般的に景気は良いとされながらも、原油を始めとする原材料高が企業の収益を圧迫しており、いよいよ我慢も限界という状況ではないでしょうか。このところの倒産の特徴は件数の増加のわりに負債総額はそれほどでもないというところです。要するに、比較的規模の小さな企業の倒産が増加しているということです。大企業は5年連続の過去最高益更新をほぼ確実なものとする一方、経営資源に劣る中小零細企業では淘汰が進む。こうした大小格差がまだ暫く続きそうです。
またオフィス需要でも格差が顕在化しつつあります。名古屋の9月の空室率は1年3ヶ月振りの高水準となる6.6%になったそうです。あちらこちらでビル建設ラッシュとなっている印象がありましたが、いよいよ需給バランスが崩れてきており、大型ビルでは依然大きな需要がある一方で、それ以外のビルは集客に苦しむ状況も出てきています。
格差が生まれる背景は、一つに日本が豊かな社会になったこと、そしてIT(情報技術)の進展により実質的な生活圏が極端に拡大したことです。「豊かさ」とは「選択肢の多さ」であります。社会が豊かになるとは、自分らしく生きるための選択肢が無限に広がることを意味します。そうしたニーズを実現させるものがITの進展です。パソコンはどこが一番安いのかは、買い手が一番よく知っています。名古屋にいながらにして、北海道のパソコンショップからパソコンを購入することも可能です。また、本当に美味しいものがどこにあるかも知っています。ネットで注文すれば、世界中のどこからでも数日のうちにクール便で送られてくることでしょう。わざわざ近所のスーパーで高くて美味しくないものを買う必要は無いのです。
こうした状況では、顧客のニーズはどこまでも多様化します。限られた人口の中でニーズが多様化するわけですから、当然単位は小さくなります。多品種小ロット、超多品種極小ロットという様相です。そういう意味においては、この環境変化は(本来であれば)中小企業向きになりつつあるということですが、それは中小企業がある特定のニーズにフォーカス(資源集中)している場合に限ります。大企業がそのまま小さくなったような中小企業では、この多様化したニーズに応えることは難しいと言わざるを得ません。結果、このような体質をもった企業は益々業績を落し、一定のニーズに着目できたいわゆるニッチ企業が益々業績を伸ばす。こういう状況が構造的に起こっているわけです。
ところが、全般的な現象といえば、冒頭で述べたように大企業が勝ち、中小企業が負けるという構造です。結局、まだまだ顧客の限られたニーズにマッチしたニッチ企業が断然少ないのでしょう。大企業型中小企業の多くが、これからも劣勢に立たされる可能性が高いといえます。
まだ間に合います。早く自社が絞り込むべきニーズを見つけ出すことです。そしてスピーディーに変革することです。中小企業の強みは、こうした環境変化への適応における身軽さなのです。
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