2005年に発覚した構造計算書偽造による耐震強度偽装問題への抜本対策として、今年6月に施行された改正建築基準法ですが、(検査を厳密にすることに伴う)建築確認申請の遅れが深刻な問題となりつつあります。7月以降9月までの新築着工戸数は、前年同月を23〜44%も下回るものであり、8月、9月の水準は、年換算すると70万戸ペースです。同業界ではいずれ70万戸時代が来ると長らくいわれていましたが、突如出現したこうした状況は、多くの産業に多大な影響を及ぼしつつあります。
影響の範囲は建設業にとどまりません。この分野は裾野が広く、建材を供給するメーカーや商社、家具やインテリアに関連する事業者、外構(エクステリア)関連の事業者、また、商業関連でも新規出店などは当然影響を受けています。新規出店が遅れれば、店舗内装、備品関連はもちろん、そこで生まれるはずの新たな労働の機会も遅れてしまうわけです。私のお客様でも、来年早々に新工場を着工する予定でいましたが、結果的に半年も遅れることになります。
現場の遅れは、当然、需給バランスの悪化を招きます。短期的には資金需要の逼迫を招きますので、この低迷が長引けば企業倒産が広い範囲で発生する可能性が高まります。特に中小企業の場合、資金調達のバリエーションは限られますので、銀行にそっぽを向かれたらひとたまりもありません。
こうした背景を受け、2007年11月27日には、中小企業向けの緊急支援策(セーフティネット保証)が打ち出されました。設計・工事など関連15業種を対象に、来年3月まで通常の二倍の公的保証が使えるというものです。しかし、3月までに元に戻る保障はどこにもありません。既に、現場を知らない役人たちが机の上で作った悪法との厳しい評価も出ています。場合によっては、処理遅れや(結果的に消費者に向く)コスト負担の増加が、需要を減退させる可能性も否めなくはなく、そうなれば3月どころの騒ぎではありません。ここ数ヶ月の遅れをどこかで取り返せるものでなければ、先の借入保証枠の倍増も、単に借金負担を大きくしただけとなりかねません。それは結局、財務体質を悪化させるに過ぎず、来年の3月以降になって多くの企業倒産を招く可能性は高まるでしょう。また、先にも述べたように裾野が広いこの業界。確実にこの影響を受けながらも、先の15種には該当しない企業も多々出てくるはずです。そうした企業にも遅かれ早かれ影響は出るでしょうから、それらが消費へ影響する可能性も少なからずあるはずです。
こうした状況では、短期的には周到な準備をするしかあり得ません。自社にはどの程度の影響が、どれくらいの期間で起こり得るのか、客観的に見極め、そのための周到な準備をなるべく早く打つことです。同時に中期的には、収益構造の改善を図る必要があります。具体的には商品構成と販路構造の改善です。理想をいえば、こういう状況にも競争に晒されない強い(差別化された)商品を持ち、景況に影響を受けにくい販路を保有することです。そこまでいかなくとも、それに近づけるような戦略的な方向性にシフトしていくことです。その前提として、現在保有する商品群や、顧客に対して、ある一定の基準に基づいて否定的なスタンス(積極的な取引解消の思惑)を持っている必要があります。
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