先日、トリンプ・インターナショナルの前社長である吉越浩一郎氏の著書『「残業ゼロ」の仕事力』を読みました。当社でも、生産性改善を目的に「メリハリ運動」という全社的な運動を行っております。これは、仕事にメリハリをつける(定時に帰る日や有給の取得を推奨する)ことで、仕事の仕方を見直そうという取り組みです。こうした取り組みの参考になればと思い、手に取ったわけです。
トリンプ・インターナショナルでは、2003年から完全に残業ゼロになったそうです。当然、それまでに幾多の試行錯誤を繰り返し、社員との軋轢も乗り越えながら残業ゼロ化を成し遂げたのです。吉越氏の社長就任当時からすれば、社員数は減少気味であるにも関わらず、売上高はむしろ5倍にもなっているそうです。単純に考え、人の生産性は5倍以上になっているとのことです。
労働時間を減らして、売上高を伸ばすのですから、時間当りの業務密度をとことん高めることなしに、こうした成果は実現できません。しかし、吉越氏は仕事の質を徹底的に高めることに主眼を置き、業績を犠牲にすることなく時短に成功したのです。
その要諦は、とにかく(まずは)膨大な仕事を社員に課すことだそうです。絶対に不可能と思えるほどの仕事を与え、すべての仕事にデッドエンドである厳守すべき期限を明確に設定するのです。その一方で、仕事量が増えても残業は許可しない。限られた時間の中で、求められる品質の仕事を仕上げることを強制するのです。『(残業も質の低下も)絶対に許さないこと』で社員の仕事の質(能力)を高めてきたそうです。仕事の能率を上げるポイントとして、「KeepBusy(絶えず忙しい状態をつくる)」ということがよく言われますがまさにそれであり、そのBusy(忙しさ)ぶりが半端ではないのです。そういう場で訓練されて、仕事の能率が格段に上がり、結果的に残業ゼロが実現されたということです。
私自身、トリンプの残業ゼロ化については、以前から存じておりましたが、吉越氏の著書を読んで、これまで少し誤解があったことに気づきました。やはり、奇策はありません。仕事の王道を貫くことで、こうした偉業を成し遂げた経営者としての(厳しい)姿勢がとても参考になります。
社員の可能性を信じ、時には鬼となって目標達成に向けて徹底的に追い込む姿勢は、学ぶべきものがあります。目先の忙しさ等を見て(結果的に)甘やかすことが、実は社員の可能性を奪っているかもしれないということを認識する必要があります。やさしい経営者が本当に社員にとって良い経営者とはいえません。社員の真の成長を願い、正しいと信じたことを徹底的に追求する。やり方が違っていると感じれば、朝令暮改もなんのその。くだらないプライドなどこれっぽっちもありません。結果を出す(結果を出させてやる)ことにのみ徹底的にこだわり、それが(長い目で見て)部下の成長に寄与すると信念を持って取り組む。そういう姿勢を見習いたいものです。
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