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Biweeklyレポート 株式会社名南経営 執行役員 永井晶也
仕事の値段
2008/03/10

以前より、社員の会社に対する帰属意識は薄れ、生活における仕事の位置づけも低くなりつつあります。企業はこの変化をどう捉え、どう対応すべきなのでしょうか?



 日本経済新聞の特集記事「働くニホン」第三部では、「仕事の値段」というタイトルで、労働者が提供する役務と、それに対する報酬のあり方について特集されておりました。
 
 会社と社員の(深い)関係は、バブル崩壊以降の十数年のうちに確実に薄れてきたといえます。終身雇用と年功序列を基本とした雇用体系は、絶対に見捨てないという暗黙の了解を形成し、就職というよりも就社というように、会社と社員の深い関係を構築してきました。それがバブル崩壊と同時に、いつ何時、リストラという大義名分で首を切られるか分からない不安定な関係となりました。多くのビジネスマンが、会社に裏切られたという想いを持ちながら最前線から去っていったことでしょう。同時に、「いつかは報われる」ということがあり得ない時代になったということを強く認識したことでしょう。

 このような現実を目の当たりにすれば、当然、力なきものはいつか切り捨てられるのだという意識を持つようになります。また、そういう前提でものを考えれば、どうしてもお互いの関係はドライにならざるをえません。組織に帰属しているという意識も薄れています。むしろ対立軸にある存在といえるかもしれません。責任を果たす代わりに、自分の権利を主張する。サービス残業などもってのほか、条件が悪ければ、とっとと条件の良い仕事に転職する、そういう気質を持つようになっても仕方のない時代背景であることは認めざるを得ないでしょう。

 ここ数十年のそうした時代背景を前提と考えれば、恐らくこれからもそういう(会社への忠誠心が低く、自分中心でモノを考えがちな)意識を持つ人材がますます増えてくることを理解しなければいけません。同時に、こうした背景を前提に、仕事そのものの位置付けが(生活全体の中で)低くなる傾向も見逃してはいけません。仕事で頑張ることだけに価値を見出せなくなり、それ以外の自分の生活の中にやりがいを見出していくという人が増えています。最近よく言われる、「自分らしく生きる」とか「ワークライフバランス」などという言葉が示すとおりであります。

 こうした傾向が良いか悪いかは別として、意識の変化があることは理解しておく必要があります。そして、企業側はそうした前提を受け入れる必要があります。企業側がそうした変化に対応していかなければいけないということです。

 ではどのように対応していくべきか。環境の変化に対応するというスタンスでいくならば、報い方のバリエーションを増やすことで対応すべきでしょう。

 「長期的」から「短期的」へ、「深まり」から「拡がり」へ。

 「いつかは報われる」という前提が崩壊したわけですから、「いまの成果はいま報いる」すなわち「長期的」から「短期的」への移行です。
  同時に、ただ一方向にだけに(より深く)報われる方向があるのではなく、色々な報われ方があるという方向(拡充)への移行です。
  多くの人が「ただひたすら一生懸命働く」ことに価値を見出さなくなっています。生活と仕事はイコールではなく、生活の一部として、自分らしく生きる一つの手段として、仕事があるという考え方に大きく変化しているのです。求めるものが違うなら、それにあわせた労働の場を提供し、それにあった報酬体系を作ればよいでしょう。社内に複数の受け口があり、仕事の内容が異なる。当然、給与も違う。しかし、それぞれが、自分の目指す仕事のあり方に近いスタイルにマッチングできれば、それはそれで納得性の高いモノになる要素は十分にあるといえます。

 ただし、簡単ではないと思います。こうした人事制度で重要なことは「公平性(頑張った人が報われること)」ですから、その根本が保たれるものでなければいけません。
  通常は、どっちが得だとか、損だとか、そうした意見が噴出する中で妥協点を探し出すことに終始してしまい、根本的な解決を見出せないまま、中途半端な制度となるか、挫折して元通りに戻ってしまう・・・、そういう可能性が高いでしょう。

 このため、本気で抜本的な人事制度の改革を図ろうとするのなら、まずは個々の社員がどういう将来像を描き、どういう(仕事に対する)価値観を持っているのか、そしてどういうライフスタイルを望んでいるのかといった、もっともベーシックな(社員一人ひとりの)現状把握からはじめてはいかがでしょうか。そこの理解が深まれば、おのずと改革の方向性は見えてくるように思います。


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