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Biweeklyレポート 株式会社名南経営 執行役員 永井晶也
自社を数値で理解する
2009/02/16

計画と実績の乖離が著しいということは珍しくありませんが、その原因に計算根拠そのものの不備ということがあります。その原因と管理会計について考えます。



 市場の混乱に伴う業績の低迷を受け、新たな方向性を早急に打ち出す必要が出てきています。特に金融機関等への資金繰り確保のための支援要請では、明確な数値的根拠が必要です。しかし、日頃こうした取組みをしていない企業では、資料を作成するだけでも大変な時間と労力を要することになります。あるいは、とりあえず「勘」と「度胸」で数字をまとめてみたものの、いざ検証の段階にきて「どうしてこんなに計画と乖離するのか?」との金融機関からの問合せに回答する術もなく、企業の建て直しに尽力しなければいけない大事な時期に、数字合わせに翻弄される・・・ということも少なくありません。

 さて、企業経営の実態は、数値で把握しておく必要があります。「若干上向き加減・・・」というようなファジーな表現ではダメです。具体的に「○○比で7%のアップ」等、比較対象や伸長の程度が数値で明確にされていなければ説得力はありません。
  もちろん将来に向けた計画の根拠も、こうした数値の積み上げであることが好ましいといえます。

 例えば、これから3ヵ年で売上を1.5倍にし、利益を2倍にするという計画なら、その目標の根拠を数字で示さなければいけません。
 売上の場合、数量と単価の掛け算ですから、現在の売上高を構成する販売数量はどれだけで、平均単価(総売上高÷販売総数量)はいくらなのかを知っておかなければいけません。その上で、今後3年間で売上高を1.5倍にするのなら、数量をどれだけ伸ばすのか(あるいは下げるのか)、単価をどれだけ上げるのか(あるいは下げるのか)によって、具体的な方針を示す必要があります。

 現状のような不況下では、まず価格競争が起こりますので、平均売価は引き下げた方が競争力は高まりそうです。そうなると、現在より価格を引き下げることで生じるマイナス影響を、更に上回る効果が実現できるだけの量を確保しなければいけません。想定した数量(値下げのもと、売上高が1.5倍になる数量)を売り上げようとすれば、当然、相応の手間がかかります。手間は人件費に直結しますので、生産性を上げない限り人件費は増加します。人件費が増加すれば、先のように売上高を1.5倍にしても、利益は2倍どころか、かえって減ってしまうかもしれません。そういう事態を回避するためには、1.5倍の売上を上げるために必要な人件費も同時に見積もっておかなければいけません。では自社の現在の人件費構造はどうなっているでしょうか。社員は平均何人いるでしょうか。その平均賃金、平均労働時間はどれだけでしょうか。これまでの人員と労働時間、人件費でどれだけの付加価値(あるいは売上高)を上げたでしょうか。そこが明確になっていて初めて、売上を1.5倍にした時の正確な人件費が算出できるようになります。要するに「狂いの少ない」計画が出来上がるわけです。

 このように、自社を発展的に方向付けしようとすれば、自社の現状を正しく数値で理解しておく必要があります。現在のように、大きな転換点に来ているよな時期には、なお更重要なテーマです。

 このような現状把握は、通常は会計という手続きによって財務諸表などを通じて行われますが、そもそも投資家や債権者の保護、納税の公平を目的とした財務会計では、自社のすべてを把握することは困難です。それ故、「自社の成長発展への正しい意思決定」を目的とした管理会計を導入することが一般的です。まだこうした自社の把握が十分でないという企業様は、まずはこの管理会計から取り組まれてはいかがでしょうか。


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