前回は、自社の存在価値を高めるために、Q.C.D.の観点で、企業の提供する価値の真価を高めようという主旨のもと、Q(品質)に関する考え方をお話ししてきました。今回、順番は異なりますが、Dについてお話ししたいと考えます。
Dとは、デリバリー(納期)です。納期とは、「欲しいと思った商品が、そう思った瞬間から、実際に自分の手に入るまでの時間」と認識できますが、これは一般的に短いほうが良いとされます。エルメスのバックや、人気ラーメン店の行列などのように、(特定の条件のもとでは、)納期が極端に長いことが、特別な価値を生み出し、より満足度を高めるというような現象もありますが、本質的には必要なときにすぐに手に入ることが良いといえます。
値段や品質で差をつけにくい商品を扱っている場合を考えてみてください。例えば、書籍などは、品質も値段も基本的には同じです(古本やプレミアムの付いたものは別ですが)。この場合、欲しいものがすぐに手に入るということは非常に魅力的です。インターネット書籍販売のアマゾン・ドット・コムは、インターネットで欲しい書籍がすぐに見つかり、早ければ明日にでも手元に届きます。ここでは、本屋で色々(掘り出しものを)物色するという楽しみこそありませんが、本来求められる機能を徹底的に短縮して提供することで大きな優位性を発揮しています。
納期に関しては、製造業者であれば、もっと分かりやすい話です。トヨタ自動車のジャスト・イン・タイムに代表されるように、製造業にとって余分な在庫は持ちたくないもの。納期がかかる協力業者と取引していれば、その分余計な在庫を持たなければいけませんが、納期が短い協力業者と取引しているなら、その分在庫は少なくてすむことになります。実際問題、納期の優位性で、高い品物を買っている会社というのは結構な数、存在しているといえます。こういう企業では、中途半端なコストダウンなどで、納期に支障が出たりすると致命的になる可能性があります。そもそも顧客にとっては、納期が最大の要求ですから、価格は少々高くても良いのです。無理なコストダウンが、納期対応に支障を来たすくらいなら、いっそ値段を上げてもらったほうが良いとすら考えているかもしれません。そこを見誤らないようにしなければいけません。
納期でもうひとつ重要なことは、早すぎてもいけないということです。ジャスト・イン・タイムが表すように、「ちょうど欲しいとき」が大事です。レストランなども高級な店ほど、この「ちょうど欲しいとき」が意識されています。料理の提供が遅いと、誰もがイライラするものです。逆に、早すぎるのも、軽く見られているような気になるものです。そういう顧客の心理をよく理解したお店では、絶妙なタイミングで、顧客の「今」を見逃しません。そしてそこでの良い印象は、またその店に来ようという気持ちにさせるものです。(続く)
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