前回、前々回の2回で、自社の存在価値を高めるために、Q.C.D.の観点で、企業の提供する価値の真価を高めようという主旨のもと、Q(品質)とD(納期)に関する考え方をお話ししてきました。今回は最後の価値要素であるCについて引き続きお話ししたいと考えます。
最後のCとは、コスト(価格)です。これは商品やサービスの値段ということですが、これも品質と同じように、商品そのものの値段だけに惑わされてはいけません。それに付随、附帯する値段も合わせて考える必要があります。特に長期間使う機械などは、注意が必要です。私のクライアントに、日本で一台しかない立体駐車場を持っている企業様があります。お客様をお待たせしない素晴らしい駐車場なのですが、日本で一台しかないため、メンテナンスや修理にかかる費用は、ほとんどメーカーの言い値です。その会社の経営者は、「このままでは駐車場に食い殺される・・・」とぼやいています。同じように、家庭用のプリンタは、プリンタ本体の値段だけで考えてはいけません。家庭用プリンタは、消耗品であるインクで儲ける仕組みになっていますから、コストの大半はインク代によって決まるといっても過言ではありません。インクが他社に比べて高ければ、(初期投資が他社より安くても)トータルのコストは高くなります。こういう理屈があるから、家庭用プリンタは非常に安い値段で買えるのです。
また、価格は通常、品質や納期との相対で良し悪しの判断がされるものです。その判断の基準は、購入者にとって「値打ちか、否か」です。購入者が値打ちと感じるなら、喜んで買っていただけますし、値打ちでないと感じれば見向きもされません。例えば、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、主力のユニクロを、「高品質な商品を、お手ごろな価格で」提供するブランドと位置づけています。高品質とは商品そのものの品質だけでなく、藤原紀香をCMで使っているように商品イメージでも高品質を訴え、それを手ごろな価格で提供することでより大きな「お値打ち感」を演出しようとしています。一方で、同社の子会社であるg.u.(ジーユー)を「まぁまぁの商品を最低価格で」提供するブランドとし、デニム990円というように徹底した安売り展開をするブランドとして位置づけています。ユニクロ層に比べて、価格そのものに強い志向を見せる層が「お値打ち」と感じる価格を実現するために、品質を少々犠牲にしているといえます。
このように、品質と比較して、お値打ちと感じる価格を設定し、これが顧客に受け入れられれば、それらはヒット商品となることでしょう。そして、そうした商品やサービスを提供できる企業の存在価値は高いということになります。
現在のように景気が低迷しますと、100円ショップが改めて見直されるなど、低価格志向が強まります。しかし、安易にそこ(低価格勝負)に追従するだけでは、規模の大きな企業に対して勝ち目はありません。いずれ、より大きなところに収斂されていきます。中小企業にコストリーダーシップ戦略は向かないのです。
ゆえに、我々が求めるべき真価は何なのか、その真価を発揮しやすい戦場はどこなのか、を明確にし、その真価を発揮するために必要な手段(それは例えば、企画力であったり、販売力であったり、生産能力であったり、情報収集力であったり・・・)を講じ、価格だけで勝負する必要などない領域に自らを位置づけなければいけません。
真価が問われる時代です。自らの発揮できる価値を具体的なメッセージとして伝え続けなければ、勝ち進むことは到底覚束ないと考えるべきです。変化の激しい時代であるからこそ、より大きな変化をよしとして、自ら積極的に変化を続ける組織に変革しなければいけません。
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