景気の冷え込みが長引くにつれ、出費に対する感覚はよりシビアになってきているようです。日本経済新聞(6/24)の調査では、調査対象である181社の小売業の実に47%が2009年度中に値下げを計画していると回答しています。ちょうど1年前は、資源の値上がりを背景に、多くの企業が値上げを思考するなか、わずかに9%ほどの企業が差別化を狙って値下げを計画していた、という主旨の記事を読んだことを思い出しました。この間、たった一年で情勢は大きく様変わりし、財布の紐を堅く閉ざす消費者に、少しでも財布を開いてもらおうとする多くの企業が、大きく方針転換を図っています。
それでも、現状の消費の特徴を見ると、高付加価値のものと低価格のものの両極端の調子がよいようです。食品等でも徹底的に価格で勝負するタイプと、ある種のこだわりを前面に出して勝負するタイプの両方が支持されているといえそうです。一番いけないのは、その間に存在するタイプ・・・、いわゆる中途半端なものということになります。
値下げというやり方は、マーケティングにおいて、もっとも手っ取り早い差別化の手段です。よって、誰でもできる(すなわち追従しやすい、されやすい)ということと、大きな資本力を持つものが必ず勝つという点において、大企業あるいは市場におけるリーダー企業の取る政策といえます。
中小企業がこういう政策を取ると、ほぼ間違いなく仕返しをされて、ひどい目に遭うことになります。よって、中小企業の取るべき政策は、できるだけ付加価値(こだわり)を追求する形がよいといえます。ニーズは小さいけれども、こだわりがあれば、共感者は必ず存在するものです。そこにクローズアップすることで、価格ではない、こだわりで勝負できる経営を目指したいものです。
とはいえ、今から突然そのような高付加価値経営に転換できるわけではありません。そこで、意識的にメリハリをつけながら徐々に付加価値型へ移行していく、というやり方がよいでしょう。自社の扱い商品の中で、値段で勝負すべきものは、思い切った低価格政策を取る。ただし、その前提として、高付加価値で勝負できる商品を必ず持っておくことです。これらは、小売店ではよくやられる手法です。いわゆる目玉商品(思い切った低価格)でお客様をひきつけておき、目玉商品とともに高付加価値の商品を買ってもらうよう仕向けるというやり方は、常套手段としていまだに一定の効果を上げています。
このように、商品ラインナップにメリハリを持たせ、安売りで値打ち感を持たせつつ、高付加価値商品で全体の収益性は維持する。さらに、少しずつ自社の商品構成を、高付加価値のものへ移行しながら、ターゲットとなる顧客を絞り込み、より付加価値の高い商品やサービスを提供できるように切り替えていくことが、中小企業にとっては有効な策といえるでしょう。
今後、“中途半端”はますます難しくなります。そこで安易な値引き合戦に参戦してしまっては、まさに“相手の思う壺”。価格競争は必ず大資本が勝つ。これは経営の原理原則です。
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