新聞紙上では、景気の底打ちを宣言するような記事がよく目に付くようになりましたが、中小企業の実態としてみると、まだまだそんな暢気な話ではありません。それどころか、時間差を伴って、自動車や工作機械以外の業種にじわじわと悪影響が広がっているようです。ここまで政府の緊急対策などが奏功し、当面の企業経営は安定しているようにも見えますが、赤字体質という本質から脱却しない限り、単なる時間稼ぎでしかありません。じっとしていれば、経営環境が好転し、自社の経営も回復するという幻想は捨て去らなければいけません。トヨタ自動車がプリウス(ハイブリッド自動車)の販売を大きく伸ばしているように、世の中のニーズは劇的に変化をし続けています。その間、ただじっと待っているだけでは、仮に景気が回復したとしても、自社には既に安定的なポジションは存在しないと考えたほうがよさそうです。この劇的な変化の中、自社を環境にどう適合させるのか、そのための具体策は何か、いつまでにそれを実現する必要があるのか、そのあたりを明確にした上で、組織構成員をどう動機付け、よりスピーディーに具体的な成果に結びつけるかを真剣に考えなければいけません。
モチベーションをどうマネジメントするか。変化が常態化している現在において、いかに強い組織を構築するか。組織構成員一人ひとりのモチベーションに関与することが重要です。そして、一人ひとりのモチベーションをマネジメントすることができれば、組織の実行力は劇的に向上することが期待できます。
人間のモチベーションに関する理論で有名なハーズバーグは、「動機付け・衛生理論」の中で、人間の欲求には、積極的な満足感に関わるものと、不満足に関わるものが存在することを立証しました。積極的な満足感に影響を及ぼす因子(動機付け要因)として、「達成」、「承認」、「責任」、「仕事」、「昇進昇格」の5つを挙げています。一方、不満足に影響を及ぼす因子(衛生要因)として、「会社の政策・経営」、「監督技術」、「給与」、「作業環境」、「二元関係」の5つを挙げています。
その上で、モチベーション(動機付け)を高めるために、不満足に関する因子(衛生要因)を極力整備し、積極的な満足に関する因子(動機付け要因)を意識した組織運営を行うことが好ましいと指摘しています。
さすがに、全てがこの理論に沿うほど単純な話ではないですが、概ねこうした傾向があるということは理解しておくと良いでしょう。その上で重要なことは、社員一人ひとりがどういう欲求を持っており、それに対して現状がどうであると認識しているか、そしてそこにどのようなギャップが存在するかをしっかり認識することです。そして、その欲求をより好ましいものに誘導すると同時に、ギャップを埋めていくことで、その社員のモチベーションを高めていくことが可能です。
豊かな時代とは、多様化の時代です。全ての社員が給料を増やすことを望んでいるという時代ではありません。働く側の多様なニーズをまず認識すること、その上で応えられることとそうでないことをしっかり分別し、ギャップを埋めていくという取組みが継続的に実施されることが重要です。そうすることで、より多くの社員のモチベーションが、スパイラル的に高まっていくようなサイクルを実現したいものです。
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