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Biweeklyレポート 株式会社名南経営 執行役員 永井晶也

組織は感情で動く

2009/09/28

人を変える(成長させる)ことはどうして大変なのでしょうか?なぜ人はなかなか変わることができないのでしょうか?この問題の鍵は脳のメカニズムにありました。



 今年は暦の関係上、9月に(シルバーウィークと呼ばれる)大型連休が生じました。景気低迷の最中ではありますが、ETCの高速料金割引といった政策によって、国内の(車を使った)小旅行は活況を呈しているようです。

 ところで、この高速料金が値下げになったことを理由に、国内旅行が活発化するという行動パターンは、経済的な生活をしようとしている人達にとって、果たして合理的なのでしょうか。景気の悪化に伴い家計費を切り詰めようと考えるなら、旅行に行かないことが最も合理的なはずです。ところが、高速料金が大幅に値下げになると聞くと、何となく「使わなければ損」という気になるものです。その結果、本来なら使わなくても良かった旅費が使われることにより、そこに経済効果が生まれることになります。景気浮揚を狙った国家の、ちょっとしたトラップに国民はまんまとはまってしまう訳です。

 さて、こうした例は枚挙に暇がありません。人は多くの場面で、合理的な行動を取っているつもりでも、無意識のうちにそうではない行動を取っているものです。イタリアの学者であるマッテオ・モッテルリーニが書いた「世界は感情で動く」という書籍は、こうした人間の不合理で感情的な行動パターンや、そうした行動パターンを生み出す人間の脳のメカニズムを解説しています。

 多くの人を組織し、そこで最大限合理的に相乗効果を生み出すことを役割として任されている経営者は、こうした人間の心のメカニズム、脳のメカニズムを知ることで、機会損失を最小限にするだけでなく、本来、人が持つ能力を最大限に活かすことが可能になるかもしれません。

 例えば、人間とは一般的に、人には厳しく自分には甘いものです。これは「帰属のエラー」といわれますが、要するに他人のミスにはその要因をその人の内面に求める(手を抜いたからだ、能力が足りないからだ等)傾向があり、自分のミスにはその要因を外部に求める(状況が変化したからだ、環境が変わったからだ等)傾向が顕著に出ます。同時に、多くの人は「自信過剰」です。かなりの確率で実際(の自分)より優れていると考えている人が多いという検証結果があります。これが、「自分を知る」ことの難しさでもあるのです。

 一方で、経営の現場では、価値の創造に向けて、組織の構成員に対し何事も自責で考え、自己変革を絶えず続けることを求めます。ところが、先の通り、そもそも人間はそのようには出来ていない。自分は正しいと考え、自分のミスは全て外部(他責)にあると考えることが本能なのです。よって、ちょっとやそっとのことでは変わらないのです。

 もちろん、この本能の赴くままに行動していては、絶対に(人間的な)成長はありません。そこには、やりがいや働きがいも存在しません。より人間的に生きようとするならば、やはりそうした特性を理解し、排除しなければいけません。しかし、それも他人がどうこうできる話ではありません。自分で気付き、自分で変えていこうという意思を持たない限り、人が変わることは無いのです

 経営を預かる者は、こうした現実を正しく認識し、仮に出来の悪い社員であったとしても、「人間とはそういうものなのだ」という気持ちのゆとりを持ってあたることが良いのではないでしょうか。はじめから出来ないことが当たり前、できることは運が良いと考えるべきです。そして、経営者は「人」の本質をもっと学ぶ必要があります。その上で、本人が自分の意思で変革を求めるまで、忍耐強く、執念深く、気付きを得るチャンスを与え続ける。そういう姿勢が大事なのではないでしょうか。



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