このところ、アマゾン・ドットコムの電子書籍端末「キンドル」が日本国内でも利用できるようになることを受け、出版業界の行く末を占う新聞記事をよく目するようになりました。
出版業界といえば、業界全体としての売上高は概ね横ばい水準で推移しているようですが、本業である雑誌や書籍の販売は1996年にピークとなり、その後減少傾向となっています。雑誌や書籍の売上低迷を補うのが、ベネッセ、ぴあ、角川グループなど出版物以外に強みを持つ企業です。出版物のみにとらわれることなく、コンテンツ提供業として、ありとあらゆるメディアを駆使して様々なサービスを提供している企業が業界全体を支えているという構図です。
キンドルに代表される電子書籍の普及は、こうした業界全体の流れを更に推し進める可能性があります。そして市場の変化は、従来の競合以外の新たな競合を生み出すことになります。現に電機メーカーや通信会社などが類似したサービスの展開を進めつつあります。今後、ますます複雑な連携や提携などにより、新しい仕組みが作り上げられていくことになるでしょう。当然、そうした中で業界全体が、新たな枠組みに収まるように再編されていくことになります。現有企業の中でも、生き残れる企業とそうでない企業。更には、これから新しく生まれる企業が、再構築された枠組みの中で次なる競争を始めることになります。それがどういう形になるのか、正確に予測することは難しいでしょう。しかし、唯一確かなことは、そうした枠組みの中でも、価値を生み出すことのできる企業のみが生き残れるということです。
企業の生み出す価値とは、唯一絶対のものではありません。その価値が存在する背景によって、その重みや存在意義は異なってきます。誰も真似できないようなものであれば、相対的に存在価値は高まりますが、誰もができるようになってしまえば、存在価値は下がってしまいます。企業が提供する商品やサービスの価値を決めるのは、自分達ではなく、あくまでお客様です。
お客様はまた、自分の周囲の環境変化によって、自らの購買パターンを変化させます。世の中の変化が消費行動を変えますが、その変化にマッチした商品やサービスを提供することで、企業は自らの存在価値を高めようと試みます。そこでの意思決定の質、意思決定後の実行の程度が、競合企業間の優劣を決めることになります。
昨年のリーマンショック以来、劇的な経済の縮小が起こりました。そしていま、新たな成長局面を模索しつつ、市場が大きく変化しようとしています。その変化のスピードは予想以上に早く、大きなもののように感じます。こうした変化に乗り遅れれば、なす術も無く淘汰されるほかありません。これから起こる変化を敏感に察知することに最大限集中しなければいけません。そして、ここを機と見れば果敢に自らを変革させることです。そう考えることができれば、このピンチの局面も大きなチャンスとして捉えることができるのではないでしょうか。
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