新しい年を迎えましたが、ここで23年を振り返ってみたいと思います。平成23年を語るには、3月11日の東日本大震災を外すわけにはいきません。この自然の驚異には、人間の力の儚さを実感させられるとともに、そこから復興に向けた人間の逞しさを同時に感じることができたと思います。今年の漢字に選ばれた「絆」が、第二位の「災」を大きく引き離したことは、この災害を通じて、苦難を乗り越えていく上での人と人との繋がりがいかに大切であるかを多くの人達が強く認識した結果であるといえます。人間関係が希薄になりつつあるといわれる昨今でありますが、まんざら捨てたものでもないではないかと皆が実感したのではないでしょうか。多くの人々が「絆」を持つことにより、大きな苦難を乗り越えることも可能であると確信したことでしょう。
同時に、この震災は世界の製造業に多大な影響を直接・間接的に及ぼすことになりました。サプライチェーンの寸断により、多くの製造業が生産できない状況となりました。日本の田舎の中小企業が製造する(ほんの小さな)部品が滞ることにより、地球の裏側の企業の生産がストップするという事態は、いかにも経済のグローバル化が(着実に)進んでいることを裏付ける事実であります。そして、このサプライチェーンの(集中化による)脆さは、企業にとっては明らかなリスクであります。よって、このサプライチェーン問題は早急に解決すべき重要課題と位置づけられることでしょう。これから想定される東海・東南海地震に備え、中部地区に集約する先端技術は世界への分散を余儀なくされることは確かなことと思います。
また、ギリシャ財政の問題に端を発した欧州経済の不安、中国の経済成長の鈍化、アメリカ経済の不振など、世界的な経済の不透明感から日本円が買われ、未曽有の円高となった為替問題により、輸出企業の業績の悪化は著しいものとなりました。これまでは政策的な円安誘導により外需で稼いできた日本にとって、これほどの急激な円高は震災同様の極めて大きく、深刻な経営環境の変化であったに違いありません。
また、急激な円高は、通貨スワップ等のデリバティブ取引にも深刻なダメージを与えました。海外と取引のあるゆえ、こうしたデリバティブ取引を行っていた多くの中小企業の経営に、壊滅的な影響を与え社会問題化しました。
こうした円高の傾向は当面の間、すなわち海外の諸問題が片付くまでは、続くものと認識しておくべきでしょう。当面の経営の前提として考えておく必要があると思います。
こうした大きな出来事を背景に、これから短期間における経済はしばし活況を呈する可能性はあるものの、為替問題による産業の空洞化懸念、少子高齢化、人口減少による国内活力の低下などを要因として、中長期的に大きな産業構造の転換が進んでいると理解すべきでしょう。その変化を明確に実感できた時、われわれはどういう立ち位置にいればよいのでしょう。その答えを、近い将来において明確にしておかなければ、間違いなく手遅れになります。もはや、多くの時間は残されていないと理解すべきでしょう。
限られた時間の中で、新たな経営環境における新たな存在価値を確立しなければいけません。いま、成果を確信できる答えは見つからないかもしれません。それでも確からしい答えに向けて具体的なアクションを起こすことが重要ではないでしょうか。
2012年は辛抱の年となる可能性が高そうですが、その中で次の時代の足場作りを確実に進めていきたいものです。
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