経営計画が期待する成果を上げるには、計画遂行時における「質の高さ」が要求されます。質の高い活動ができれば、そこから得られる成果は、期待以上のものになる可能性さえあります。よって、経営者は社員一人ひとりの(計画に沿った)活動が、より「質の高い」ものになるよう、ありとあらゆる工夫をしなければいけません。ただ計画をつくればそれでよいというものではありません。
彼らの目耳を通じて、頭の中で理解され、十分な納得感とともに、自分にも実行できるに違いないという確信を持たせなければいけません。頭で理解したものが、心に落ち、行動に表れるのです。この時、彼らの「解釈」が正しければ、彼らの行動は「質の高い」ものになる可能性が高まります。いくら社員一人ひとりの能力が高くても、この「解釈」が間違っていては「質の高い」行動は生まれてこないのです。「質の高い」行動が生まれてこなければ、実効性は高まりません。経営計画の実効性を高めるためには、そこが大きなポイントなのです。
経営計画の「正しい解釈」を促すには、いくつかのポイントがあります。一つには経営理念から経営計画に至るプロセスが明確なロジック(論理)によって、筋が通されていることです。経営理念、経営ビジョン、経営戦略、経営計画、この流れの中で、大きく抽象的なものから、徐々に細かく具体的なものへと展開していくわけですが、この展開プロセスにおいて前後の脈絡がない、要するに筋の通らない経営計画をよく拝見します。そういうケースは恐らく、経営計画の立案者がすでに具体的なやりたいこと(思い込みが多い)を持っており、それを計画に入れ込むために無理矢理前後をつなげる場合によく起こります。本人にしてみれば、自分のやりたいことを加えられたのですから満足でしょうが、それを見て行動する社員達の納得感が高まらず、もちろん正しい解釈には至りません。結果、高い実効性は得られませんので、大きな成果を期待することは難しくなります。
では、前後の筋が通っていればそれでよいかというと、それだけでもなかなか難しいと言わざるを得ません。行動レベルで重要なことは、計画が5W2Hでしっかり展開されている必要があります。ここが曖昧ですと、結局実行レベルは低下します。特にWhyの部分。何故、そのような行動が必要であるのか。目的志向です。何のために、その行動をとるかが明確に認識されていない限り、仕事は作業化する可能性が高いといえます。よって、これから取る行動の目的(特に上位の目的)が常に認識できるような経営計画である必要があります。
こうしたニーズに対応したマネジメント手法の一つとして、バランスト・スコアカード(以下:BSC)という手法があります。一時、「見える化」という言葉が流行りましたが、このBSCの戦略マップという手法は、まさしく戦略の「見える化」であります。経営戦略を一枚のマップにて明確に示すことができます。この手法を用いると、経営計画全体をビジュアル的につかむことができるため、理解が深まり、解釈のレベルも高まります。解釈のレベルが高まれば、それは「行動の質」へと結びついていくため、意図した成果を得る可能性が高まっていくのです。
これらは一つの例にすぎませんが、経営計画の目的が「より良い経営を実現すること」であるとすれば、その手段である計画立案、計画遂行のプロセスは、いろいろな方法を、試行錯誤していく必要があるでしょう。一つの参考になれば幸いです。 |