競争が激しくなればなるほど、最終的にものをいうのが組織の生産性であります。これは製造業に限った話ではなく、むしろ(可視化しにくい)ホワイトカラー(営業・管理・事務系)の生産性が、組織の競争力に大きな影響を及ぼすことになります。
生産性とは、投入した経営資源に対する成果で表現します。よって、生産性を向上させるには、できるだけ少ない経営資源の投入により、できるだけ大きな成果を生めばよいことになります。ただしホワイトカラーの場合、生産現場とは異なり成果の定義が若干難しいため、測定が難しいという側面があります。
これを、実務的に運用する場合、「総労働時間」に占める「成果を生むための時間」の割合を極限まで高めるという考え方をします。もちろん、成果を生むための時間から、どの程度の成果が生まれたかをモニターしない限り、厳密な生産性向上には至らないわけですが、一定以上の習熟により投入時間と成果には一定の相関があるという前提で、まずは成果を生むための時間の確保を最優先に考えます。
限られた時間(総労働時間)の中で、「成果を生むための時間」を最大化するには、そうでない時間を最低限に抑え込む必要があります。この際、製造業で日常的に使われている、ムリ、ムラ、ムダを排除するという考え方が使えます。紙面の都合もありますので、ここではムダについて考えてみたいと思います。
周囲の同僚の動きをじっと見てみると、お気づきになると思います。事務所におけるムダがいかに多いことか・・・。例えば、「ものを探すムダ」は日常的に発生しています。共有備品の使い方がルール化されていないために、組織全体で誰かが何か探し物をしているようなケースをよく見受けます。これは一人ひとりの個人の問題でなく、組織レベルの問題として扱わなければいけません。
またIT化が進んでいる昨今では、「データを探すムダ」もばかになりません。過去に受け取ったはずのメールを延々と探す、サーバに入れたはずのデータがどのフォルダにあるか分からなくなってしまった等、一見パソコンに向かって仕事をしているようで、実のところ何の成果にもつながらない「ムダな仕事」をしていたということが頻発しています。(同様に、ムリやムラも組織の生産性を阻害する要因として存在しています。)
こうしたムリ、ムラ、ムダを最大限排除することで、浮いた時間を生産的な仕事に回すことができれば、組織の生産性は格段に向上することになります。どうしても個々の裁量に任されがちなテーマですので、「5S」というアプローチを取り、個々人の時間のムダ使いや仕事のムラを組織全体の問題として取り上げ、チーム全体で生産性の向上を推進する運動として展開することが効果的であるといえます。
「5S」とは、一般的に製造現場における改善活動のように認識されていることが多いといえますが、その思想や手法はホワイトカラーにおいても実に有効な手段となります。単なる書類やデータの整理・整頓だけでなく、整理・整頓・清掃された状態が生み出す新たな気づきは、仕事を効率的に進めていく上で多くの示唆を与えます。5S活動を通じた躾は、日常の仕事の逐一において凡事徹底を促し、目に見えにくい信用の失墜行為を防ぐ効果も期待できるでしょう。 |