【宙に浮いた年金記録5千万件】
「ねんきん特別便」が始まった。宙に浮いた年金記録5千万件の照合の結果、平成20年3月末までに持ち主の可能性があると思われる受給者1千万人へ段階的に送られることになっている。やっとまともな対策が始まった。これは基礎年金番号制度が導入された平成9年以前から間違いなく検討されていた方法と思うが、諸事情があって先送りされてきたのだろう。年金記録が杜撰になることは、申請主義を採用した制度発足時点で想定されており(だからこその申請主義でもある)、かつ社会保険庁もずっと課題であると認識し続けていたが、抜本的な対策は遂にとられることがなかった。この一連の年金騒動をきっかけに今後はかなりの精度で照合作業が行われることになるだろうが、このしくみにかかる膨大な費用は補正予算から捻出される。当面は管理コストがかかるが、杜撰よりははるかにましではある。ネット上で手軽に自分の年金履歴が確認できるローコストな仕組みが出来るのもそう遠い話ではないだろう。
さて最近、この照合の過程で1975万件は記録が不備で確認が難航、さらにはこのうち945万件は名寄せが現時点では不可能、という発表があった。自民党の公約?遂行ギブアップ宣言である。市町村の紙の記録を調べれば何とか照合が進むと言われているが、これには膨大な人手と時間がかかるだろう。いずれにせよ、放置し過ぎた。
【公約違反騒ぎ】
安倍政権の前回選挙の時、「消えた年金記録を全て突合せ、最後の一人まで年金をキチンと支払う」という類の言葉があちこちで踊った。最初にこの言葉を聞いたとき、「こんなこと言っていいのかしらねぇ」と誰もが思った。完全にはできる筈がないことを、言葉足らずの表現で強弁した。「票集めのリップサービスでつまらんことを言い出したな」と感じていたが、案の定である。言質を取られることで数値の未達成を衝かれ、支持を失っていく。また、これは非常に誤解を招く表現で、全ての年金加入者が年金を受給できるかのようにも聞こえる(意図的にその誤解を狙ったのかもしれない)。制度上、一定の期間要件を満たさないと年金はゼロなのである。
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