人事考課制度は作ったものの管理者にそもそも評価をするスキルがない、という課題にぶつかる企業は多い。この結果、人事考課者研修を実施することになるが、その目的は概ね「視点の統一」になる。しかしこの視点の統一は目的ではない。一定のスキルを身につけることによって生じる副産物ともいえる。そのスキルを得るには以下の認識と習得が必要になる。
1)管理者の役割を再認識する
2)人事考課のスキル=人事考課の原則と行動評価の視点をマスターする
3)部下との面談スキルをマスターする
以下、それぞれについて述べていく。
■管理者の役割を認識する
通常、管理者は部下を評価する役割を負う。部下を評価するというのは、部下の職業人生に少なからず影響を与えることになる。特に学卒新人の場合は、最初に就いた上司の影響は大きい。ゆえに、好きで就任した管理の職ではないかもしれないが、縁あってその役目を負った限りはいい加減にやるべきではない。
さて、管理者の役割を認識するための教育方法は多々在るが、よく行うのは次の3つのテーマである。これをグループ討議形式で実施し、討議のプロセスに価値を見出す手法をとる。
A 組織の備えるべき要件と目的は何か
B 経営者から見た理想の管理職とはどのような人か
C 部下から見た理想の管理職とはどのような人か
この討論を行うと、ほとんどのケースでまっとうな意見が出てくる。もちろん正解はないので、出てきた意見のままでかまわない。要は討論の過程で人の様々な意見を聞き、自分の意見を述べている間に、自分もウチの会社はできてないな、と気づくのである。
Aのテーマにおいては、複数人で構成することは大前提として、組織の備えるべき要件は一般的には以下のようになる。
a 共通の目的があること
b 共通のルールがあること
c メンバー間で協働の意思があること
d 縦横のコミュニケーションが円滑であること
e 役割が明確であること
そして、組織の目的は、言わずもがなであるが、「相乗効果をあげること」にある。
Bのテーマにおいては、今まで多く出た意見をまとめると以下のようになる。
a 経営者と同じ視点で日頃の業務を遂行してくれる人
b 経営者に不足する能力を補佐してくれる人
c 経営者の心情や立場を理解してくれる人
Cのテーマにおいては、今まで出た意見をまとめると以下のようになる。
a 自分を成長させてくれる人
b よく話を聞いてくれる人
c 公平な人
(つづく)
|