 |
 |
厚生労働省の「医業経営の非営利性等に関する検討会」で認定医療法人制度の創設及び出資限度額法人への移行の議論がなされている。 |
現行の医療法人制度では社団医療法人と財団医療法人に大別される、且つ
社団医療法人は「持分有り」と「持分無し」にも区分される。
医療法人の殆どが、持分有りの社団医療法人である。来年の医療法改正では
医療法人の非営利性や公益性を高めた制度改変が予想される。その一つとし
て、一般の医療法人を出資額限度法人に移行させようとする議論がある。
既に厚生労働省からは、移行への「モデル定款」も公表されている。
医療法人の保有する資産の含み益や過去の剰余金の蓄積の厚い一般医療法人
の社員(出資者)の悩みは
・ 退社する社員への出資金払い戻し請求権への対処
・ 社員が死亡した時の相続税評価額の時価評価
などがあげられる。
医療法人の設立時に1口1万円で出資した持分が、含み益や剰余金の蓄積で
払い戻し時の評価額が10倍、100倍になるケースが生じているからである。
そこで、実際に払い込んだ出資額の範囲で、社員の退社時に精算を行うよう
定款で変更することが認められた。これが出資限度額法人である。
しかし、ここで問題となるのが、一般の医療法人の大半が同族社員で運営さ
れているのが実情で、法人税法上の同族会社の扱いを受ける医療法人は
・ 定款を変更して出資限度額法人に移行した際には法人、個人とも課税関係
は生じない
・ 払い込んだ出資金の範囲内で払い戻しを受けても個人の課税はない
・ 医療法人も受贈益課税はないとされる
ここまでは出資額限度法人への移行でメリットは感じられるが
・ 社員の死亡により相続が発生し、相続人が出資金及び社員としての地位も
含め相続した際には、他の同族社員へのみなし贈与の課税関係が残る
では同族関係を解消すればということになるが、
・ 同族社員の出資金総額が全体の出資金の50%以下にしないといけない
・ 定款で役員(理事)にしめる同族関係者の割合を1/3以下と定めないと
いけない
ことがネックになる。事実上、他人の資本、他人の役員を含めた非同族の医療
法人経営を要求されることになる。
今後、1口あたりの出資金の払い戻しを時価で行わなければならない医療法人は
出資額限度法人にしたいところだが、相続税の問題は解消されない。
|