中小企業の事業承継問題は政府も巻き込んだ重要課題となっている。昨年の改正会社法や今年予定の承継に絡む税制改正など、自社株式の移転(=オーナー権限の移譲)等については、同族会社にとって運用しやすい環境になっている。オーナー会社で後継者が同族にいない、いても能力評価すれば適切ではない場合では、M&AやMBOで解決を見出す手法も一般化しつつある。
ところが、最近の相談案件の中で増えつつあるのが、後継者は存在し且つ能力的にも優れていると周囲に認められているにも関わらず、オーナー自身の身の施し方が定まらないケースだ。「後継者に期待はしているが、自身もまだまだ現役で役に立っている」「私個人のファンもいるので・・」「私でないと対応出来ないことも多い・・」「このまま引っ込んでもすることがないし・・」等オーナーから発せられる言葉には共通項が多い。
後継者が子息である場合の子息の相談で「老いては子に従えと言うのに、当社では、老いても子は従うもの、これでは私が60歳になっても実質的に会社を仕切ることは出来ない・・」との嘆きも寄せられた。
オーナーに意欲があり、過去の実績でも評価の高い人ほど、早くから後継者の育成は行っているのだが、バトンタッチのタイミングで双方の認識のズレを生じるのであろう。会長、社長といった肩書き上の役割でなく、オーナー、後継者の実質的な役割分担を早くから明文化しておくのも必要なのかもしれない。後継者は排除の論理でなく、オーナーは「いずれ思うように出来るのだから」という言葉を禁句にして、オーナー定年という新しい課題に挑戦することも事業承継を考える上で必要なことではないか。
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