このところ不動産価格が上げに転じたとの報道が目につく。たしかに都心を中心にオフィスビルの建築が相次いでいる。地価の上昇は金融機関の担保処分価格の推移を見るとさらに顕著である。
金融庁の「18年9月期における不良債権の状況等(ポイント)」によると、全国銀行・123行の前9月期における担保不動産の売却実績額は自行の評価額の1.6倍を超える結果となった。乖離幅は、平成15年9月期の1.1倍を底に年々拡大している。担保評価における金融庁の目安が「時価の1.2倍」とされていることから考えても異常な数字である。
何故このような乖離が生じているのだろうか。最大の仕掛人はREITと呼ばれる不動産投資信託だ。東京から大阪そして名古屋へと守備範囲を拡大してきた。不動産取得の判断は利回りの確保が主体であり、必ずしも従来の相場に囚われるわけではない。ぎりぎりでも利回りがあればかなりの高値でも買っていく。背景に局地的な不動産取得合戦があるとみられる。
一方金融機関の側には不良債権処理を進めたいという意向がまだまだ強い。メガバンクなど最悪期は脱したものの、他行の不良債権比率は常に気になるところである。所有者にとっても相場を上回る売り値は魅力。
こうしてミニバブルの発生となった。局地的とは言え、借り手にとって何か金融機関との交渉材料に使う方法はないか。
金融機関は、保守的な体質もあって、全国的な地価急落にでも直面しない限り、評価額の一斉見直しなど行わない。見直しのサイクルは3年が一般的であることから、地価の上昇局面では必然的に担保評価額と売却実績額との乖離幅は拡大するのである。
このため、借り手としては、新たな資金調達が必要になった場合は既存の担保不動産の再評価を依頼すべきであろう。新たな担保差し入れが不要になるかもしれない。また、実体債務超過が理由で不良債権とみなされているのであれば、なおのこと近隣の売買事例などを示して積極的に見直しをせまる必要があろう。
さらに、今後予想される金利引き上げ圧力に対しても対抗手段となる可能性も考えられる。金利はリスクの裏返し。保全バランスが改善しているのであれば、金利交渉にも活用すべきである。
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