トヨタ式カイゼンの一つに「多能工化」があることは良く知られているが、先日、パチンコホール・カラオケ・ボーリング場・飲食店・日帰り温泉浴場などの施設を、一つの場所で運営する会社の経営者が、「当社の従業員教育の特色は専門工の養成でなく多能工の育成」と話されていたのが印象的であった。各施設の巡回、客対応、受付など施設ごとの職務を個々に割り振っていると
・ 各人の生産性が施設によってバラバラになる
・ 社員の予定外の休暇などがあっても専門工では応援の仕組みが出来ない
・ どの施設でも対応することで施設ごとの一体感が出来る
予約が殺到している信州の有名旅館でも、受付、清掃、顧客案内、広大な敷地で行われるイベント準備、敷地内の飲食部門の運営、車での送迎・・求められる業務が多々あるが、新入社員段階から全ての業務の体験を求められ、その後も役割分担で業務を固定することなく、ローテーション方式を取っている。全社員が他の社員の動きを見て助け合うことが、自然な振る舞いで行われている。多能工化することで、効率性と協力しあう組織風土が出来るようだ。何より、従業員の笑顔ときびきびした接客姿勢がリピート客を生んでいる。
会計事務所も専門家サービス業であるが、専門分野を有することと対顧客サービスを実行することとは、分けて考えないといけない。本来的に専門工としての資質が求められるのは当然であって、しかし、他分野において無関心であっては顧客サービスの質はあがってこない。企業経営者が関心を持っている経営上の課題、経済の情勢、業界の状況、税務会計の隣接分野等々、一定水準の多能工化することで専門工としての評価も高まってくるのではないだろうか。
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