「中期3ヵ年計画を来月までに作成して下さい」。突然、金融機関から、
こんなお願いをされたことはありませんか。こういったケースでは、経営計
画の作成に着手する前に、その理由を確認しておく必要があります。
金融機関が思いつきで「経営計画」を依頼することはありません。御社の
債務者区分が何らかの理由で変わったと見るのが妥当です。従来「正常先」
であったのが、「要注意先」、「破綻懸念先」に格下げになった公算が強い
ということです。「経営計画」と言うよりも、むしろ「経営改善計画」を求
められたのです。
まず、依頼の背景を探ってみましょう。直近の決算が経常赤字であれば、
まず「要注意先」だとお考え下さい。何年間もお持ちになっていた在庫を一
気に処分して収益が表面的に悪化したなど、「一過性の赤字」なら金融機関
の担当者にはっきりと伝えるべきです。そうではなくて本当に赤字に転落し
たのであれば、今期は確実に利益が出せるよう施策を練って計画に反映さ
せ、説明しなければなりません。「要注意先」が追加融資を受けるのは「経
営計画」がなければ難しいとご理解下さい。
「破綻懸念先」と判断された場合、事態はより深刻です。貸借対照表が一
見健全でも金融機関は「実体債務超過」との見方をしています。しかも債務
超過を短期間で解消するのは難しいと見ています。つまり、「再建」できる
可能性が極めて少ないということです。場合によっては、貸出債権を第三者
にディスカウントして売却してしまいます。この傾向は一段と強まっていま
す。不良債権処理が一段落し、債権償却を進めやすい環境に変わってきてい
るからなのです。この、いわゆる「バルクセール」が判明すると、他の金融
機関からの資金調達も極めて難しくなります。ですから、ご自身の見解が
「債務超過ではない」のであれば、徹底的に金融機関の担当者との間でイ
メージを合わせるべきです。
金融機関は健全性に疑いのある資産については資産項目から除外してしま
います。借りる側のディスクローズが進んできたこともあって、勘定科目明
細に記載されていない投資勘定などがこの対象になります。ですから、勘定
科目の中身について、細かく説明しておく必要があるのです。積極的にディ
スクローズを進めることで信用面は強化されます。
「経営計画」の作成依頼はなんでもないことのように思われがちですが、
その背景を探ることで金融機関が御社の信用面をどう判断しているかを知る
ことができるのです。
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