先ごろ、経済産業省が中小企業金融公庫を通じて経営者本人の保証を不要とする融資制度を来春にも導入する方針である、との新聞報道がありました。しかし、「財務諸表を四半期ごとに報告すること」などが条件となりますので、中小・零細企業にまで広く展開されることはないと判断されます。メガ・バンクの関連企業でさえ、やっと四半期決算が定着しつつあるのが現状だからです。
また、経営の透明性を高めても、経営者本人の保証が不要になるためには、まだいくつか解決されなければならない問題があります。まず、経営者の個人資産と法人である会社の資産が厳密に分離されている企業が少ないことが挙げられます。本社や工場といった本来企業の経営資源であるはずの土地・建物が経営者の個人名義になっているケースがまだまだ多いように見受けられます。このため、金融庁の金融検査マニュアルにおいても、企業の債務者区分を判定する際、経営者の個人資産・負債を合算する扱いが認められています。つまり、企業と経営者を実質同一と見ているわけです。当然のことながら、金融機関としても「経営者の保証は不可欠」とならざるを得ません。
さらに、大半がオーナー企業であり、経営責任が経営者個人に集中していることも保証を免除できない理由となっています。大企業などのように責任が複数の役員に分散されているわけではありません。設備投資に踏み切るか否かなど、重大な意思決定が一人の経営者に委ねられています。したがって、金融機関の立場では経営者の返済意思を確認しておくことが重要な融資条件となります。こうした意味合いから保証を要求せざるを得ないのが正直なところです。これは、経営者本人の保証能力とは必ずしも関係ありません。
たしかに、金融機関において、保証人の資力や担保にのみ依存した貸出は減る傾向にあり、企業自体の信用力や返済能力を、より重視する姿勢に変わりつつあります。保証協会も、本年4月に当該企業の経営とは関係のない第三者の保証を取上条件から外しています。
しかし、経営者の保証が不要となる環境が整うのには、まだまだ時間がか
かりそうです。
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