「たんす買ったら米買う金がなくなった」。新年早々、わけの分からない書き出しになってしまいました。今流に言い換えれば、「プラズマテレビを買ったら食費にあてるお金がなくなった」といったところでしょうか。一般家庭なら余程の浪費家でないかぎり、まず起こりえないことです。ところが、これが企業になると実際にちらほら見受けられるのです。
機械を購入し代金を支払う段になった。たまたま手元流動性は豊か。「借金するほどのこともあるまい」。気前良く現金払いしたまでは良かったが、期末近くになって材料の仕入れ資金が足りない。たまたま訪問してきた金融機関の担当者に「運転資金」の借入を打診した。
どうです。思い当たる節はありませんか?実は金融機関の担当者にとって、この融資は結構厄介な宿題なのです。稟議は冒頭で述べた内容にならざるを得ません。この段階になって「設備資金」と書くわけにもいかず、また「運転資金」で組み立てようとすると本部から「赤字資金か?」と詰められかねない。結局「機械を即金で買ったので期末の支払いが出来なくなりました・・・」。「なんとだらしない会社」と審査部から突き返えされることにもなりかねません。このケースでは、資金使途は「材料の仕入れ代金決済」、資金要因(なぜ借入が発生するのか)は「機械購入(=設備資金)」というのが「正しい稟議」なのでしょう。
金融機関の担当者にとっては、機械代金の支払い時点で借りてくれた方が、稟議を書くうえで、はるかに楽です。「資金使途」と「資金要因」は一致しています。請求書か納品書を1枚添付すれば少なくとも「資金使途」でとやかく言われることはありません。あとは借入金を収益弁済できるかを詰めるだけです。ただ、購入資金を全額借りない、つまり一部自己資金で賄うようなケースですと「自己資金」の妥当性を問われることになります。これは借りる側とて同じこと。
では、設備購入にあてるべき「自己資金」は一体いくらなのでしょうか。運転資金(営業上の流動資産−営業上の流動負債)が最大になった時点での手元流動性(現金+預金)というのも一つの考え方です。たしかに、「運転資金はピークでいくら必要か」くらいは常に念頭に置いておきたいところです。しかし売掛金にしても買掛金にしても実際は相手のある話。なかなか理屈どおりにはなりません。
資金繰りに神経をすり減らすことを考えれば、多少余裕を持った資金調達も必要なのではないでしょうか。とくに設備資金の場合、低金利の制度融資を探してみる手もあります。是非、ご検討下さい。 |