2月に入って、「首相の目玉政策のひとつ『再チャレンジ』を後押しする『再チャレンジ融資』に銀行が及び腰」との新聞報道がありました。「銀行にノウハウが乏しい」などとも書かれています。しかし、ノウハウ以前の問題がいくつかあるのです。金融機関、つまり貸す側の立場でお考え頂きますとさほど難しい話ではありません。
まず「再チャレンジ」の前に、何故倒産に至ったかを経営者自らが客観的に分析できているのかがポイントになります。大口販売先の倒産による連鎖であったとしても、与信管理の甘さは否めません。予兆に気づかずにいたのか、気づいていても何も手を打たなかったのか、あるいは手を打つこと自体諦めてしまったのか、など倒産を振り返ることにより、どこに原因があったかを整理して頂く必要があります。原因究明の結果とその防止策について金融機関にご説明頂くことが、再チャレンジの第一歩ではないでしょうか。
また、今後の展望が開けたとしても、実際に損失を被った取引金融機関は経営者の倒産前後の対応を記憶しています。たとえ貸倒損失を懸念していた企業であっても、事前に倒産について了解していた金融機関など、まずありません。突然の破産申し立ては、金融機関の融資担当者にとって「生涯忘れることのできない出来事」と言っても過言ではありません。信頼関係は損なわれてしまっているのです。
ここで、もう一つご留意頂きたい事柄があります。実は、金融機関にとって当局からのこういった要請は初めてではありません。「中小企業向け融資」という言葉をご記憶の方も多いかと思います。つい最近まで、金融機関は不良債権処理を進める一方で中小企業向け融資に積極的に取り組むよう当局から厳しい指導を受けていたのです。
各地の信用保証協会も保証枠を拡大することで側面から支援しておりました。しかし返済目処の立たない「無理な融資」は、金融機関からの相次ぐ代位弁済請求により、信用保証協会に莫大な不良債権を残す結果となりました。もちろん金融機関とて無傷ではありません。その傷の癒えぬ状態で、現場が「再チャレンジ融資」に取り組む状況をご想像頂きたいのです。さらに「再チャレンジ融資」は「中小企業向け融資」のように目標値が設定できるような代物ではありません。
残念なことに、「破産してしばらくおとなしくしておれば、またリングに上がれる」と考えておられる経営者が実際に見受けられるのも事実です。まるでゲーム機のリセットボタンを押すかのような感覚です。しかし、「再チャレンジ」は当然の権利ではありません。また、倒産を「帳消し」にしてくれる制度でもないのです。
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