期末月を迎えて金融機関の各拠点は、期中目標達成に向けて最後の追い込みに入っています。ところで金融機関の期中目標には、どういった項目があるのかご存知でしょうか。かみ砕いてお話ししましょう。
まずはボリューム。貸出残高の目標値のことです。営業基盤の目安となる目標でもあります。マスコミの注目も貸出残高シェアに集中する傾向があります。
この下期から預金残高についても、目標値を設定している金融機関もあるようです。市場金利が上昇してきているため、預金で利鞘が稼げるようになってきたからです。来期はほとんどの金融機関が、預貸両面で営業活動を強化してくると予想されます。
ただ、期末のスポット残高よりも期中の平均残高を主たる目標値とする金融機関が大半であることから、期末月に「借りてくれ」を連発する担当者は少ないと思われます。今更騒いでどうにかなる項目ではないからです。
ボリューム目標と同等に重視されるものに収益目標があります。この二つで拠点長をはじめとする行員の賞与が決まる、といっても過言ではありません。実は顧客にとって厄介なのはこの収益目標なのです。目標値と実績値が乖離していますと期末に近づくほど顧客への提案商品は金融機関にとって収益性が高いものに移っていきます。とくに、デリバティブと呼ばれる金融派生商品は、契約期間における収益が導入時点で計上されることから、金融機関の担当者には「一発逆転が可能な飛び道具」に見えてしまいがちです。しかし、拠点にとっては麻薬のようなもの。毎期ある程度顧客に「買って」もらわないことには全体の収益額を伸ばしていくことができないからです。
そもそもデリバティブ導入の目的は、主として事業活動における「何かのリスク」をヘッジするためであった筈なのですが、この単純な理屈を理解されていない経営者が案外多いのではないでしょうか。
商品そのものは複雑怪奇であってすべて理解するのは至難。なかには投機目的ではないかと考えられるものも存在します。金融機関の「提案書」にも「顧問会計士・税理士とご相談のうえ・・・」と記載されているのが一般的です。「顧問税理士と相談したらやめた方が良いと言われた」と責任を転嫁される経営者も見受けられます。
しかし、例えば天候デリバティブであれば文字通り天候に大きく左右される業種以外は不要な筈です。「理解できない商品は買わない」という姿勢は例え相手が金融機関であっても貫かれるべきなのでしょう。 期末月に突然提案された「リスクヘッジ」は、金融機関の「飛び道具」ではないか、と疑ってみる必要があるようです。
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