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不動産の貸付等から生ずる所得について解説します。 |
一、不動産の貸付等から生ずる所得の内容
1.国内法の規定
所得税法及び法人税法では、「国内にある不動産、国内にある不動産の上に存する権利若しくは採石法の規定による採石権の貸し付け、鉱業法の規定による租鉱権の設定又は居住者に対する船舶若しくは航空機の貸付による対価」は国内源泉所得に該当するとしています。
ここにいう船舶又は航空機の貸付による対価とは、船体又は機体の賃貸借であるいわゆる裸用船(機)契約に基づいて支払を受ける対価をいい、乗組員とともに船体又は機体を利用させるいわゆる定期用船(機)契約又は航海用船(機)契約に基づいて支払を受ける対価はこれに該当しないものとされています。
なお、外国法人が居住者又は内国法人に対する船舶又は航空機の貸付(裸用船(機)契約によるものに限る)に基づいて支払受ける対価は、その船舶又は航空機を専ら国外において事業の用に供する場合であっても国内源泉所得に該当します。
2.租税条約の規定
租税条約においても、裸用船(機)契約に基づいて支払をうける対価を除き不動産の貸付等による対価は、その所在地国に課税権を認めています。かつ制限税率の規定もおいていないため、国内法の規定と変わりません。
裸用船(機)契約に基づいて支払をうける対価については、オーストラリア、スリ・ランカとの租税条約を除き、船舶又は航空機を不動産とみなさないため、租税条約では使用料の規定(シンガポール、韓国、マレーシア、スウェーデン、南アフリカ等)、事業所得の規定又はその他所得の規定の適用を受けると考えられます。(以下、裸用船(機)契約に基づく対価に関する規定は、国際運輸事業以外の事業を営む外国法人の場合についてのものとします。)
二、外国法人に対する課税方法
1.国内法の規定
外国法人に支払う不動産の貸付等の対価は、その外国法人が日本国内に恒久的施設を有するか否かにかかわらず所得税の源泉徴収(税率20%)の対象となります。
また、不動産の貸付等の対価を得る外国法人は、その日本国内の恒久的施設の有無にかかわらず、法人税の申告を行わなければなりません。
従って、日本国内で不動産の貸付等の対価を得る外国法人は、所得税の源泉徴収を受けたうえで法人税の確定申告を行うことになります。この場合、その外国法人は源泉徴収された所得税をその支払う法人税額から控除することができます。
恒久的施設のある外国法人については、一定の要件を満たす場合には所得税の源泉徴収の免除申請を行うことにより、所得税の源泉徴収の免除を受けることができます(外国法人課税の概要(3)にて解説)。
2.租税条約の規定
(1) 裸用船(機)契約に基づく対価以外のもの
わが国が締結しているほとんどの租税条約では、不動産の貸付等から生ずる所得がその所在地から多くの便益をうけていることから、経済的関係が他の所得に比較してより密接であることを理由として、その所在地国に課税権を認めています。従って、上記の裸用船(機)契約に基づいて支払いを受ける対価を除いて、源泉徴収(税率20%)の対象であることも、法人税の申告が必要なことも変わりません。
(2) 裸用船(機)契約に基づく対価(国際運輸事業以外の事業を営む外国法人の場合)
裸用船(機)契約に基づく対価については、恒久的施設の有無及び租税条約ごとに課税関係が異なることになります。租税条約における裸用船(機)契約に基づく対価に関する規定については、主なものについて次のパターンに分けられます。
イ 不動産所得条項により船舶・航空機は不動産に含まれないことが規定されており、かつ
a. 船舶、航空機の貸付の対価が使用料に含まれる場合
b. その他所得条項があり、その他所得が居住地国での課税とされている場合
c. その他所得条項があり、その他所得が源泉地国での課税とされている場合
d. 特に不動産所得条項以外の規定がない場合
ロ 不動産所得条項がなく、かつ、その他所得条項もない場合
個々の適用関係の説明は複雑となりすぎるため省略しますが、例えばイ b.では、恒久的施設がある場合には、源泉徴収なく法人税課税のみとなり、恒久的施設がない場合には、日本での課税はなくなります。このように裸用船(機)契約に基づく対価については、租税条約の適用がある場合には、大きく課税関係が変化する可能性があります。
※ この原稿では、外国法人とは、外国普通法人を指します。
※ 租税条約は、相手先の国ごとに締結され、それぞれ内容も異なるため、実際の事例への適用にあたっては必ず個別の条約にあたることが必要です。