日本には昔から「向う三軒両隣」という言葉の通り、近所付き合いは当然としてお互いが何かと助け合ってきた良き習慣があります。ところがお隣同士でも、いざ土地の境界(筆界線)の問題が発生すると、お互い大切な資産の問題ですので、争いに発展するケースが多いのが実態です。
筆界線の認識が異なる場合、それを正すには、これまでは裁判所に筆界確定訴訟を提訴して判決を得るという方法しかありませんでした。
しかし、その方法ですと、デメリットとして、
・裁判が長期化すること
・弁護士報酬等がかかる
・専門家の知識が生かされない
・お隣同士が原告被告という対立関係となり隣人関係が悪化する
ということが指摘されていました。
そこで、不動産登記法の一部改正(平成18年1月20日施行)によって、「筆界特定制度」という新しい土地境界に関する制度が創設されました。具体的には、
1)隣地間において筆界認識が不一致となった場合、対象土地の所在地を管轄する
法務局に手数料を納付し、「筆界特定申請」をします。
2)法務局内の筆界特定登記官が、筆界調査委員を選定、その意見を踏まえて審査
をし、公法上の筆界を特定します。
3)筆界の内容を公告すると共に、関係人や申請人に通知します。
この筆界特定制度によって、裁判よりも短期に問題が決着する可能性が高く、弁護士報酬等は不要となり、かつ隣人関係の悪影響が少なくて済む、というメリットがあります。
ただし、筆界はあくまで地番と地番の境界線を示すものであり、所有権界を示すものではないこと、また筆界は線ではなく、範囲で特定される場合もあるため、一定の解決は得られますが、不服のある場合には結局一から境界画定訴訟をしなければならない、という点は注意が必要です。
なお、筆界特定制度を代理することを業とできるのは、
・土地家屋調査士
・弁護士
・認定司法書士
の資格を有する者となります。
(名南通信2007年5月号より)
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