昨今、大企業が業績回復に伴い積極的な採用活動を行う中で、中小企業に
とっては優秀な人材の確保がこれまで以上に難しい環境になっています。そして人材の質が企業の競争力を決定付けるソフトウェア業界では、多くの企業において「優秀なSE(Systems Engineer)の獲得」が最大の経営課題となっています。その中でM&Aによって他社の買収を希望するソフトウェア業者が増えています。M&Aで他社を買収することによって、そこに在籍するSEを獲得することが最大の目的です。今回はこのソフトウェア業界のM&Aの特徴について説明します。
ソフトウェア業界に限らず人材確保を目的としたM&Aにおいては共通する部分も多いので、他業界の方も参考になると思います。
(1)独特の企業評価方法
あるソフトウェア業者の経営者様に譲渡案件をご紹介した際の話です。「この企業はSEが20人いるから、100万円×20人=2000万円以下であれば買収したい」といわれました。これは人材紹介会社に紹介されたSEを採用する場合の人材紹介会社への報酬が、約100万円/人ということが根拠でした。資産が比較的少なく、人材が最も重要な経営資産であるソフトウェア業界独特の評価方法です。
(2)従業員のチェックポイント
M&Aを検討する上で譲渡企業の従業員の調査は欠かせません。「年齢」と「勤続年数」はどの業種においても最低限チェックしておきましょう。ソフトウェア業界ではSEのスキルを確認することが重要であるため、「使用できるプログラミング言語」や「製品知識」等についても合わせて調査する必要があります。
(3)ディスクローズのタイミング
M&Aの多くは最終契約後に従業員に対してM&Aの事実を発表(ディスクローズ)します。しかしながら、ソフトウェア業界のM&Aにおいては最終契約直前に従業員にディスクローズするケースも珍しくありません。理由はソフトウェア業界がM&A後に従業員が離散するリスクが他業界以上に大きく、買い手が最終契約前にディスクローズして従業員の了承を得ることを強く希望するケースが多いからです。
(名南通信2007年6月号より)
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