譲受企業がM&Aを成功させるポイントのひとつに、「リスクコントロール」があります。他社の譲受には様々なリスクが伴うものであり、リスクをゼロにすることはできません。重要なのは、「M&Aを実行する前に、想定されるリスクをすべて洗い出し、リスクが顕在化した場合の対応策を予め決定しておく」ことであり、これをリスクコントロールといいます。そして自社が許容できる範囲内にリスクをコントロールできない案件であれば見送るほうが賢明です。今回はM&Aに伴い譲受企業が被る代表的なリスクと、その対応策についてご説明します。
■リスク1) 譲渡企業の簿外債務
M&A後に譲渡企業の簿外債務が発見された場合、譲受企業がその債務を弁済しなければならなくなるリスクがあります。
●対応策 事業譲渡のスキームでM&Aを実行する
事業譲渡は譲渡企業が有する事業を譲り受けるスキームであり、譲受企業は必要な事業だけを選択して譲り受けることが可能です。譲渡企業のすべてを譲り受ける株式譲渡の場合、簿外債務のリスクを被りますが、事業譲渡を選択することによってリスクをヘッジできます。
■リスク2) 譲渡企業の従業員の離散
M&A後に譲渡企業の従業員が離散してしまうことによって、事業の継続が滞ってしまうリスクがあります。
●対応策1)実行前にディスクローズする
M&Aを実行する前に譲渡企業の従業員にディスクローズし、M&Aをすることについて合意を得ておくことでリスクを軽減できます。
●対応策2)預託金を設定する
M&Aに伴い譲受企業から譲渡人に支払われる対価のうちの一部を預託金として留保しておくことによってリスクを軽減できます。例えば、5000万円の預託金を設定し、従業員の離散に伴う譲渡人の補償金額を従業員一人当たり500万円とする契約を締結しておけば、仮に二人の従業員がM&A後に離散したとしても確実に1000万円の補償を受けることができます。
(名南通信2007年11月号より)
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