2007年秋、老舗の和菓子屋が引き起こした偽装事件では、製造日の改ざん、原材料の偽表示、回収品の再利用など多くの偽装が明らかになりました。またこの事件を引き金に、いくつかの企業において同様の偽装が発覚しています。大きな事件が起こり、その後で雨後のタケノコのように続く不祥事―このようなことがこれまでに何度も繰り返されており、食品業界に対する一般社会の信頼は失墜しているといってよいでしょう。
<賞味期限に対する考え方の問題点>
さて今回の和菓子屋の賞味期限(製造日)偽装については、二つの点で問題とされました。一つは、店頭からの売れ残り返品など、工場からいったん出荷した製品について、製造日を付け直した上で再包装し、再出荷した点です。これは明らかに偽装であり、工場に返ってくるまでにどんな扱い(温度管理など)を受けたかも把握できず、安全上にも問題があります。
もう一つは、工場内で出荷数調整のため冷凍ストックし、解凍した時点で製造日を付けていた点です。この行為は、食品業界の認識としては生産調整の範囲に含まれ、所轄保健所でもこの点については承認済みであったということです。しかし今回、JAS法に基づく判断では、この点についても「消費者に誤解を与える」との見方で違法とされています。
同業界において、生産工程での中間製品(仕掛品)は、冷・解凍を経ているものも多く、今後問題になることも予想されます。
今回の事件は、生産・流通規模の拡大や消費形態の多様化が進む中、商品のイメージである「作りたて」をうたい文句としながらも、すべての需要に対応し、かつ利益を増大させるための手段として、生産量の一部の冷凍や、返品等を再商品化するという方法に至ったものと思われます。冷凍設備を導入して大量生産をすることと、「当日作って、当日販売する」という建前には、矛盾があるように思えてなりません。その矛盾を「不適切な表示」を行うことによって、解消しようとしたのではないでしょうか。
<内部告発の増加>
今回のような偽装問題が明るみに出るきっかけは内部告発によるものがほとんどであり、告発者は元社員・元パートといった退職者が大部分を占め、会社に属している間は何もいえない状況にあることが窺えます。農水省の食品表示110番に寄せられる内部告発などの情報提供は、10月だけで過去最多の697件に上り、ミートホープ事件以降(6〜10月)では前年同期の3倍を超すペースになっています。
偽装は食品業界だけでなく、あらゆる業種で起こり得る問題です。今後の企業の取り組みとしては、事件になってしまってから慌てて対応するのではなく、偽装の芽を社内で摘み取ることができる、「内部統制制度」や、「内部告発制度」等を整備することによって、自浄作用を高めていくことが必要であるといえます。
(名南通信2007年12月号より)
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