今回は会計・税務上での棚卸資産の評価方法について解説致します。
<会計上の取り扱い>
平成20年4月1日以後開始事業年度からは、企業会計上「棚卸資産の評価に関する会計基準」が上場企業等の一部の法人には強制適用されることになります。今までは企業会計上も原価法と低価法の二つの方法が認められていたのですが、この会計基準では、低価法で評価しなければならないという取り扱いになっています。原価法とは仕入原価にて棚卸資産を評価する方法のことであり、低価法とは仕入原価と期末時点の時価を比較して、いずれか低い方の価額で棚卸資産を評価するという方法です。
では、期末時点の時価とはどのように算出するのでしょうか。
原則的な方法は、売価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除した「正味売却価額」で評価することとなっていますが、継続適用を要件として購買市場の時価に付随費用を加算した「再調達原価」で評価してもよいことになっています。ただし、「再調達原価」で評価するためには、「正味売却価額」が「再調達原価」に歩調を合わせて動くと想定される場合という条件があります。
つまり、原則は「売るといくらになるのか」で評価し、例外は「買ったらいくらするのか」で評価することになります。
<税務上の取り扱い>
税務では今後も原価法と低価法の二つの評価方法が認められています。
税務上の低価法に用いられる時価について、以前は「再調達原価」の考え方を原則としていましたが、平成19年の法人税基本通達等の改正により、企業会計と同様に「正味売却価額」をもって時価とする旨が定められました。これは、企業会計において会計基準が公表されたことに伴い、会計と税務の不整合をなくすための改正でしょう。
<税務上の申告調整について>
会計上は低価法による評価であっても、税務上採用している評価方法が原価法である場合は、申告書上で申告調整が必要となることがあります。これは会計上棚卸資産の評価を切り下げた金額が、税務では損金として認められないからです。
新たな評価の方法を採用しようとする事業年度開始の日の前日までに所轄税務署長へ申請すれば、税務上も原価法から低価法へ変更することは可能ですが、現在の評価の方法を採用してから相当期間が経過していない場合などは申請が却下されることもありますので、評価の方法の変更をご検討される際にはお近くの税理士等専門家へ事前にご相談されることをお勧め致します。
(名南通信2008年3月号より)
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