「国際会計基準」「IFRS(国際財務報告基準)」などのキーワードで、国際的な会計基準に関する報道を目にすることが多くなっています。
「国際会計基準」や「IFRS」と聞くと、一見中小企業は関係ないように思えます。しかし、税法も会計基準が変わる都度、これに沿った税法へと改正されていますので、中小企業であっても会計基準の見直しは、他人事ではないと言えるでしょう。
たとえば最近では、棚卸資産の評価方法である後入先出法等の廃止や工事契約に関する会計基準である工事進行基準の適用見直し、リース会計基準の見直しなど、日本の会計基準がIFRSへと近づいていますが、税法もこれらに沿った改正がなされています。
ところで現在、IFRSを策定している国際会計基準審議会(IASB)と米国財務会計基準審議会(FASB)が共同で収益認識の現行基準の見直しの検討を進めています。IASBとFASBが共同して提案している収益認識のモデル(以下「提案モデル」)に関して、企業会計基準委員会が論点整理し、公表、意見募集を行っていましたので、ここでその一部をご紹介したいと思います。
提案モデルでは、「個々の財やサービスに対する支配が顧客へ移転した時点で一律に収益認識を行う」ことが記されています。
この提案モデルが及ぼす影響としては、たとえば次のようなことが考えられます。
(1)出荷基準が適用できない?
現状、商品を販売したときに、出荷基準を適用して収益を認識する会社も多いでしょう。
しかし、提案モデルでの考えでは、出荷した時点では、商品が顧客へ移転したことにならないため、出荷した時点での収益の認識はできません。そのため提案モデルが採用されたら、出荷基準は認められないことになります。
(2)割賦販売の回収基準も適用できない?
この提案モデルは例外なき適用と考えられているため、現状、割賦販売の場合に適用されている回収基準や回収期限到来基準も認められなくなります。
(3)工事完成基準へ逆戻り?
最近、工事進行基準の適用範囲が広がる改正がなされたばかりの工事契約に関する収益の認識ですが、この提案モデルでは、そのほとんどが工事完成基準での適用になってしまいます。(ただし、連続的に顧客へ移転する場合には、進捗に応じた収益の認識をする、と考えられています。)
これらに関しては、まだ検討段階、議論の段階であり、決定されたわけではありませんので、今すぐ慌てる必要はないでしょう。
しかし、会計基準の流れが、そちらの方向性に向かいつつある、という認識は持たなければなりません。その上で、自社における現状の収益認識はどうなっているのか、今一度確認し、この提案モデルにおける自社への影響度合いはどうなのか、検討してみるとよいのではないでしょうか。
参考:
企業会計基準委員会 https://www.asb.or.jp/
論点整理 「収益認識に関する論点の整理」の公表
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/summary_issue/revenue_
recognition/
|