日本企業が海外で事業所や現地法人を設けるなどをして、海外での生産拠点、販売拠点を設けているケースは、数多く存在しています。
海外で現地法人を立ち上げる際には、日本企業が出資し、日本企業のグループ会社(関係会社)として役割を担う場合がほとんどです。
この場合、日本企業と現地法人との取引が発生すると、その取引価格をめぐり、移転価格税制という問題が生じ、税務当局と一悶着起きるケースがあります。
移転価格税制とは、ある企業とその企業の国外関連者との取引価格が第三者間の取引価格として合理的な価格(独立企業間価格)と異なることでその企業の所得が減少する場合には、独立企業間価格との差額について課税を行う、という制度です。
たとえば、スポーツ用品製造販売大手の「アシックス」が移転価格税制に基づき約40億円の申告漏れを指摘されたことは記憶に新しいことですが、以前にも大企業を中心として移転価格税制を巡る争いは多くあります。
移転価格税制による課税処分が行われると、日本のみならず、取引先である海外の現地法人の所得計算にも影響を及ぼします。そのため、海外の税務当局との折衝も生じ、相互の国での調整等に時間も労力も要します。特に大企業はかかる金額が大きいため、過去の調整部分もさることながら、以後の取引価格の変更等、事業計画の建て直しや経営判断への影響は計り知れません。
これを防ぐには、相互協議を伴う事前確認制度の活用が考えられます。
事前確認とは、納税者が事前に取引価格の算定方法等について税務当局へ申し出て、税務当局がこれを確認することをいい、確認された内容である限り、移転価格課税が行われない仕組みとなっています。相互協議を伴えば、相手国の税務当局との協議が行われることになるため、相手国の現地法人においても適正な取引価格として認めてもらえ、相手国での移転価格課税も行われないことになります。
この相互協議を伴う事前確認の状況について、10月に国税庁ホームページより平成20事務年度分が公表されました。
これによれば、相互協議を伴う事前確認の発生件数は130件あり、処理件数は91件、1件あたりの平均的な処理期間は、23.7ヶ月でした。
この平均値は、新規事案、更新事案を含めた値であるため、新規事案であれば、2年を超えることが容易に予想されます。
相互協議を伴う事前確認制度も長丁場であることに変わりはないようですが、この制度を利用することで大きなリスク回避につながります。
参考:国税庁HP
平成20事務年度の「相互協議を伴う事前確認の状況(APAレポート)」
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2009/sogo_kyogi/index.htm
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