横浜ベイスターズを巡るTBSと住生活グループの交渉が打ち切りとなった。今回は本案件における両社の目的から振り返りながら、破談の原因を探っていきたい。
TBSの目的は不採算事業の分離。横浜球団は年間約20億の赤字を計上しており、グループの重荷となっていた。球団は、テレビ中継の減少による放映権料の減少という球界全体の問題に加えて、チーム弱体化に伴う球場来場者数減少が重なり、好転する見通しも立てづらい状況。一方、親会社のTBSも視聴率低迷により、2010年3月期は連結最終赤字。グループ全体の建て直しのために球団を売却する決断に至った。
住生活グループの目的は、知名度向上(広告宣伝)。トステム、INAXという業界のリーディングカンパニーを傘下に置いているものの、一般消費者における知名度は伸び悩んでいた。今回の売却問題を通して、初めて「住生活グループ」という名前を知った消費者も少なくないのではないか。
双方の思惑が合致し、両社は9月上旬以降水面下で交渉を重ねてきたが、10月12日に住生活グループの潮田会長が球団買収の意向を正式表明した。この時点では、双方が成約の手ごたえを感じていたと思われる。報道が先行して、正式表明という形を早期にとらざるを得なくなったという側面もあると思うが、ファンをはじめとする利害関係者への影響を考えれば、正式表明の時期に慎重を期すことは常道である。
では、ここから急転した原因は何だったのだろうか。本拠地問題がクローズアップされているが、本拠地について正式表明までまったく議論されていなかったとは考えられない。横浜、静岡、新潟・・・どこが有力だったかは定かではないが、少なくとも正式表明時点では双方共に決着可能な問題と踏んでいたと考えられる。この見通しが狂ったのは、正式表明(M&A用語でいうディスクローズ)がきっかけではないだろうか。正式表明以降、神奈川県知事をはじめ外部の利害関係者が続々とコメントを発表する中で、本拠地移転による影響の大きさを両社が思い知らされ、双方にとって譲れないポイントとなってしまったのではないか。
以上、個人の推測の域を出ないが、改めてディスクローズの難しさを考えさせられた案件であった。
|