【開講にあたって】
先日、60歳半ばのある社長様からお電話がありました。「息子をクビにした。今後のことを考えたいので相談に乗って欲しい。」
息子さん38歳、社長である父親に乞われるまま自分のやりたい仕事を泣く泣く諦め、28歳で入社して10年、何とか周囲の理解と信任を得、「そろそろバトンタッチしても良いのでは」との声が出始めた矢先の出来事でした。私自身、まだまだ足りない部分はあるものの、彼の意欲と能力には大いに期待していましたので、正直なところ電話の前で途方に暮れてしまいました。「どうしてこんなことになってしまったのか。」―――確かに口喧嘩の絶えない親子ではありましたが・・・。
私の記憶が正しければ、私がコンサルティングを始めた20年ほど前の親族間の争いと言えば殆どが兄弟間のそれであり、親子間の争いというものはそれほど多くはなかったように思います。否、争いそのものがなかった訳ではありませんが、それが経営に決定的な影響を与えるほどの争いには発展していなかった、というのが正しいのかもしれません。当時はどこかに「折り合い」というものがあったように思います。増え始めたのはバブル崩壊の数年後からであったと感じます。この頃にどんな変化が起こっていたのか・・・。
本講座の最終ゴールは、素晴らしい事業"昇慶"を実現していただくことです。ここで言う"昇慶"とは、「(承継によって)より一層の成長・発展を実現し、心から喜び合える」事業承継を意味する造語です。
私はこれまでのコンサルティング経験の中で、たくさんの事業"昇慶"を見させていただきました。冒頭の悲しい出来事を目の当たりにし、「是非他の会社においても素晴らしい"昇慶"をしていただきたい」…そんな思いで今回筆を執りました。これからシリーズで事業"昇慶"について考えていきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。
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