引き継ぐものの本質を解説する前に、そもそも『経営』とは何なのか、その本質を語意から考えてみましょう。
『経営』の“経”は「たていと(縦糸)」即ち「不変の道理」を、“営”は「いとなみ」即ち「日々のつとめ、行為」を意味しています。要するに経営は、変えてはならぬものと、時代に合わせてやらねばならぬことがあるぞ、両方大切にせよ、と教えてくれています。
一方、『不易流行』という言葉があります。この言葉自体は、「松尾芭蕉が確立した理念の一つであり、俳諧の特質が新しみにあり、その新しみを求めて変化を重ねていく流行性こそが不易(不変)の本質であること」(三省堂・大辞林)を意味していますが、ここでは経営の本質という観点で解説致します。
先に“流行”から解説しましょう。これは読んで字の如く「流れ行くもの」であり、「ある現象(服装、言葉、思想、行動様式、病気など)が一時的に世間に広まること/はやり」となります。要するに時代は変化する、留まることを知らない、だとすれば、企業もそれにあわせて変化し続けなければいけない、ということを表現しているのです。前回解説した「誰を対象に、どのような商品やサービスを、どのような方法で提供する商いなのか」を表す“事業”は、この“流行”の対象でなければいけません。対象とするお客様も、扱う商品やサービスも、その提供の方法も、時代の変遷に応じて時々刻々と変化させるべきものであるからです。
一方で“不易”は、“易”が「1)あなどる、かろんずる」「2)やすらか、たやすい」「3)かわる、かえる」という意味ですから、
1)あなどるな、かろんずるな
2)やすらかではないぞ、たやすくないぞ
3)かわらないぞ、かえてはならぬぞ
ということになります。1)、2)を読みますと、経営者として覚悟しなければならないことを改めて教えてくれているように感じますね。今回の場合は、3)の意味で使います。
やはり『不易流行』も『経営』と同様、変えてはいけないものと、変えなければいけないものの最適な組合せが好ましい経営であり、“不易”、変えてはいけないものが引き継ぐものの本質と言えるのです。私はその本質を『信用』と『理念』と考えています。
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