前回お話した通り、経営者の使命は、後継者に肚を決めさせることです。
私はこれまでのコンサルティングの実務の中で、300人以上の経営者の息子たちとお会いしてきました。その中で「息子というものは、実はものごころついた頃から後継の覚悟を持っているもの」であることを感じます。
ただその成長過程において、親の言動からくる反抗心、後継への怯えやプレッシャーなどが影響して、他の道を求めるようになることが多いように思うのです。
しかしその一方で、心のどこかで「継がなければいけないんだろうな」であったり、もっと積極的に「社長を経験するのも悪くないな」といった想いもぬぐいきれず、心に葛藤を常に抱えているものです。要するに息子は、乗るもそるも自分で決められないまま、悶々とした日々を送っているのです。
「自分の人生なのだから、自分で答えを出しなさい」一見“良い親父像”を装う経営者が多くなったように思います。さびしいことです。
私はそのような社長にはこう尋ねます。
「自分の胸に手を当てて自らの心に問いかけてみてください。
あなたの言葉に偽りがないと言い切れますか?」
「そしてあなたは息子の本当の心に耳を傾けていますか?」
「お前がやりたいなら継げばいい。
こうした言葉の類が、実は息子を苦しめていることに気づいていますか?」
一番罪作りなのは中途半端な心とまやかしの言葉だと思います。経営者の覚悟が決まっていないために、どれだけ息子が苦しんでいるか。
整理しましょう。
経営者の息子は、ものごころがついた頃から後継者としての覚悟を持っています。しかし、その成長過程において、その覚悟が揺らいできます。そのときにそれを増幅させるような発言こそが諸悪の根源です。経営者は自信を持って言い続けなればいけません。
「俺の会社を継いでくれ。」
そして、経営者の魅力を語り続ける。そうすれば息子は喜んで肚を括るものなのだと思います。
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