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事業“昇慶(しょうけい)”塾 株式会社名南経営 取締役 亀井英孝
後継者と古参幹部の確執の原因は欠乏症
2008/09/22

後継者が後継する際の障害の一つに、古参幹部社員との確執があります。今回はそれが起こる原因と、その解消に向けた方向性についてお伝えします。



 今回から事業“昇慶”第五の要諦「体制の構築」の第二の視点である「サポート体制」、もう少し具体的に言えば、後継者の片腕の作り方について解説していきたいと思います。

 私は立場上、後継者の方々のお悩みをお聴きする機会が多いのですが、100%と言って良いほど挙がるのが、「言うことを聞いてくれなくて困る」「どのように接したら良いかわからない」といった現経営者の幹部(以後「古参幹部」)との関係に関わるご相談です。現経営者から見れば貴重な存在、価値ある存在であるからこその幹部の方々、しかし後継者にとっては扱いにくい存在となってしまう。もったいないお話です。そこで本稿では、後継者と古参幹部との確執が起こる原因と、その解消に向けた方向性を考えてみたいと思います。

 まずは古参幹部が取る具体的な態度・姿勢を、後継者の声としてご紹介しましょう。

 ・何を言っても否定される。
 ・何かやろうと働きかけても「お手並み拝見」とばかりに無視する。
 ・「だったら辞めます」と平気で言う(「どうせあなたには私を切る
   ことなどできないでしょ」という顔をしながら)。
 ・動いてくれたとしても嫌々で、影でこそこそ文句を言っている。
 ・自分が言ってもやってくれないのに、同じことを社長が言うとすぐ
  に動く。
 ・成果がでないと「それみたことか」と言わんばかりに非難してくる。

 そしてこのような古参幹部に対して後継者は・・・

 ・周囲の目を省みず、会うたびに喧嘩をする。
 ・駄目さ加減を社長に進言する(そして「まあそう言うな」とかわさ
  れるか、「お前にも問題があるんじゃないのか?」と逆指摘されて
  へそを曲げる)。
 ・「社長になったら真っ先に首を切ってやる」と悶々とししながら
  日々を送る。
 ・無視する。話し掛けない。
 ・言うことを聴いてくれる社員だけを可愛がる。徒党を組む。
 ・自分一人の世界に閉じ篭る(会社に寄り付かなかったり現場作業に
  埋没したり)。

 何故このような状態に陥ってしまうのか、この問題を考える時、マズローの欲求5段階説に基づいて考えると、その原因の一端が見えてきます。マズローの学説によりますと、人間には普通5つの欲求(生存・安全・親和・自己顕示・自己実現)があり、それらは階層的に存在しています。この説に基づき、後継者の登場によって古参幹部の心情にどのような変化が起きているかを紐解きますと、次のようになります。

 ・せっかく安定しているこの状態を壊されはしないだろうか
  (安全欲求の喪失)
 ・結構仲良くやっている今の関係を壊されはしないだろうか
  (親和欲求の喪失)
 ・これまで一生懸命努力してやっとここまできたのに、ぽっと出の
  後継者が将来自分の上に立つことが納得行かない
  (自己顕示<独立>欲求の喪失)
 ・今まで一生懸命努力をし、現社長に認められて築いてきた
  この立場を脅かされるのではないか、ないしはこの後継者が自分の
  ことをきちんと評価できるのだろうか
  (自己顕示<地位>欲求の喪失)

 自己実現を除く4つの欲求は、別名「欠乏欲求」と言われ、これが満たされない場合に人間は、恐怖心にさいなまれることになります。要するに、後継者という新参者の登場により、これまで満たされていたさまざまな欲求が満たされなくなる恐れ、それが上記のような態度・姿勢、即ち「余分なことはしない」(安全欲求の充足)「これまでの(特に現社長との)付き合いにしがみつく」「旧知の者と愚痴を言い合う」(親和欲求の充足)「虚勢を張る、非難する」(自己顕示欲求の充足)といった悪しき行動になって現れている、と考えられるのです。幹部ともなれば、「自分が部下を守ってやらなければいけない(部下から認められたい)」という顕示欲求が強く働きますので尚更です。


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