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「売る」だけで完結するのではなく、売ったことから顧客との付き合いが始まる仕組みを構築している企業には、多くの成功実績を見ることができます。 |
神戸大学教授加護野忠男氏の『競争優位のシステム』によると、「企業間競争を勝ち抜くためは差別にある。その差別には商品やサービスの差別化と事業システムの差別化があるが、商品やサービスはすぐに真似られるが、事業システムは目立たず、外から見えないので真似にくい」と述べられています。
確かに、勝ち組企業を観察してみると、そこには素晴らしい仕組みが存在していることが多くあります。そしてその仕組みは、その企業が急ごしらえで作ったものではなく、長年にわたって企業風土の中で培われたものばかりです。そしてその多くは自社だけでなく他社からの応援も得て今日の姿にまで発展してきたものであり、なおかつ、現代の経営技術が駆使されて今なお成長し続けています。
「売る」という行為においても、単に「売る」だけで完結するのではなく、売ったことからその顧客とのお付き合いが始まると捉える仕組みを構築している企業においては、数多くの成功実績を見ることができます。
営業マンの心理が最も高まるのは「売る」ことに成功した瞬間です。しかし、顧客の心理が高揚するのは、その後の「利用する」段階です。顧客の気持ちが高まっているときにどんなサービス、対応ができるのかによって、顧客満足度もリピート率も大きく変わってきます。
例えば、自動車を売った後の点検や修理等のサービスの付加価値、建物を建てた後のメンテナンスの付加価値等、息の長い業務が大きな付加価値を売る事例はたくさんあります。自社の普段の業務、サービスについて、川上川下または周辺部を眺め、その仕事を仕組みとして取り組むことはできないでしょうか。
実際に、「売る」に「教える」というサービスを加えて部門を拡充したケースや、自社工場の片隅に工房ショップを増設したケース、インターネットを利用して高付加価値を売るケース等も目立ってきています。また、健康安全ブームや高齢化などの世情を反映して、サービスの幅を広げる事例も多く見受けられます。
こういった仕組み化は決して大企業だけのものではありません。考えてみると中小企業においても仕組み化の成功事例は多く、むしろ大企業に比べて身軽に仕組み化が可能と言えます。もう一度足元を見直すことで、新しい仕事を発掘できるチャンスを見つけることができるのではないでしょうか。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男 |