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相手に喜ばれると思って行動したのに、期待した反応はなかったということが時々あります。今回は「相手に与える」時のポイントです。 |
前回ご紹介した無能唱元氏の「人蕩し術」の本の中で、「人蕩の極意」として、
「 魅は
与(よ)によって生じ
求(ぐ)によって滅す 」
という言葉が記されています。これは以下のように定義されています。
「あなたが他人に何か与えれば、あなたに「魅きつける力」は生じ、あなたが他人から何かを取ろうとすれば、その力は即座に消えてしまう」
確かに納得できる言葉で、むしろ物事の原理と言ってもいいのかもしれません。当社の所訓でも「自利利他の精神に基づき お客様の明日への発展のために 今日一日を価値あるものとします」と謳っていますが、これは「自利とは利他をいう。まず、与によって行動することにより、結果として我々も与えられるものとなる」という意味で、まさにわが社の理念も、同氏の「人蕩の極意」と同じことを示しています。
しかし世の中のさまざまな現象を見てみると、「ゆとりや余裕をもって判断すれば、まず与から入るべき」と思っても、なかなか実際にはその気持ちが欠けてしまっています。また、こちらは与のつもりであっても、相手にとっては与になっていないというケースも多いのではないでしょうか。
「こんなことをしてあげる」という自分からの視点での行動や、「自分の立場からはこうだ」と主張するのは、果たして相手も同じ気持ちでいてくれるかどうかに疑問が残ります。「相手の立場に立って」という基本的な姿勢について、重要さを改めて考えされられました。
「これはいいものですよ」「素晴らしいですよ」と本人が強調しても、理解されないことはよくあります。使った人、食べてみた人が素晴らしいと思い、それがどんどん吹聴されていけば、それを評価する輪はどんどん広がっていきます。しかし現実は、自己の判断基準を押し付ける傾向が強いのではないでしょうか。
ここで少しは話がそれますが、ケインズの「美人投票の理論」を思い出しました。これはよく株価について言われていることですが、株の投機は「自分が美人と思う女性ではなく、みんなが美人だと思う女性に投票する」という美人投票の理屈と同じで、自分がよいと思った株ではなく、みんなが買いそうだと思った株式に人気が集まり、その株価が上昇するという話です。つまり、株価は実際の価値よりも人気に左右されやすいということを説いています。
自分の判断基準で物事を捉えるだけでなく、相手や周りがどう受け止めるかを考えながら物事を捉えることは重要なことです。美人投票の理論も、実は「魅は与によって生じる」という言葉に通じる部分があるのではないかと感じました。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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