政府税制調査会の委員の任期は一般的には3年で、その3年に一度
の任期を迎えるたびに、将来の税制改革の方向性を中期答申として
提言するというのが、今までの流れでした。そしてこの答申は、次
年度の税制改正に大きく影響するものです。
しかし今回初めて、この9月にまとめる予定だった中期答申を
出さず、これに代わって「今後の税制改革についての議論に向けて」
という”会長談話”のかたちで12日に公表されました。
この談話によれば、今回中期答申を出さなかった理由として、「
将来もっとも適切なタイミングで答申をまとめることが、税制改革
を進める上で有意義である」と述べています。記者会見上でも、石
弘光会長は、「機械的な、あるいはカレンダー的な意味合いで出す
よりは、税制改革は、本格的に行われる時期に、我々の意見が一番
反映させやすいときに、これはまさにさっき申し上げたもっとも適
切なタイミングでまとめる」と発言しています。
そもそも中期答申を出さなかった背景には、今年7月に政府が
まとめた歳出・歳入一体改革の中身が、小泉政権の交代と重なった
ことも影響して、政府与党が骨太方針で消費税の上げ幅や時期を
明記しなかったことで、税制改革の全体像を描けなかったという
ことを意味しています。
折しも総裁選で、谷垣財務大臣だけが消費税10%への増税を謳っ
ていました。これは他の候補との差をつけるためのアドバルーンと
も見えなくもありませんでした。国民は誰しも増税を好む者はいま
せんし、また、景気への影響度も大きいため、当然増税は少ないほ
うがベターです。この意味において、安部氏が打ち出していた「ま
ず歳出削減ありき」というところから消費税を考えるという方向の
ほうが、国民からは評価されやすかったであろうと思われます。
一方で、政府税調の中期答申を出すにあたっては、この消費税問
題には具体的に踏み込まざるを得ません。本来政府税調が政治に
中立であるならば、慣習どおり中期答申を出すべきではなかっ
たのかと思います。石会長は「税制改革は政治主導にならざるを
得ない」と発言されていましたが、今回の答申先送りの決定は、
政治改革が重なり、参議院選挙も踏まえての延期であるならば、
政府税調のありかたそのものについて、失望感をぬぐえません。
私自身、税制改革は、政治に中立な立場で、多様な議論の中で生
まれてくべきだと考えております。今回の中期答申の先送りは、税
の専門家として、残念といわざるを得ません。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男 |