中小企業税制でかねてから問題となっている同族会社について、これまで通常の法人税とは別に、内部留保金に対して税金が課税されていました(留保金課税)。これが今回の税制改正により、資本金が1億円以下であれば全て撤廃されることになりました。
このことは非常に喜ばしいニュースです。長年撤廃を訴え続けてきた私も、大きな前進であると喜んでいる次第ですが、いささか旧聞ではありますが、2006年11月16日付けの中部経済新聞に、「課税は残すべき」という記事が掲載されていました。これは、政府税制調査会の会合で、一橋大学教授の田近栄治委員の主張で、個人事業主の所得はサラリーマンに比べ捕捉されにくいこと等がその理由です。
同記事から情報を得ただけですので、どのような趣旨でこの発言に繋がったのかは分かりかねますが、事実であればとんでもない意見ではないかと感じています。
確かに個人事業主はサラリーマンに比べ所得の捕捉が問題なのは事実かもしれません。しかし、そうだからといって留保金課税を残すべきというのはおかしいのではないでしょうか。
少なくとも私の関係する限りにおいては、中小企業は健全経営で納税しているところが全てです。留保金課税は、課税される企業のほとんどが、企業努力して所得を出している優良企業です。しっかりと経理しているのに、留保金課税という特別な税を課税するという差別は許されないことであると、日ごろから考えています。したがって、報道されている意見と留保金課税とは全く結びつかず、氏の意見には考えあぐねる次第です。
政府税制調査会の委員であるからには、相当な見識をお持ちの方であろうと思います。それゆえ、この主張は事実でないことを祈ります。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男 |