ご周知の通り、現在の日本の大きな課題は少子化と高齢化であり、人口は減少していくとされています。人口の減少は単純に考えれば市場の縮小です。
また、将来への不安等から、家計の財布の紐は以前固いままの状況が続いています。ボーナスは全般に上昇傾向にあるとはいえ、なかなか消費にまわっていないのが現状です。
これを見込んで、さまざまな分野でM&A等を用いた業界再編が進んでいます。今要求されているのは、単に市場縮小と捉えるのではなく、どこに市場が広がる可能性があるのかを見極める視点です。
例えば昨年話題になったのは、キリンビールのメルシャン獲得です。若年人口の減少により従来のビール等の市場が縮小する中、逆に健康志向の強まりに注目してワインや焼酎事業を拡大する戦略に乗り出しました。
昨年末には、タカラトミーと赤ちゃん本舗の資本業務提携も報道されました。玩具メーカーとベビー用品の販売店の提携は、製販の枠を超えた垂直統合として注目を集めています。
また、大手家電店の台頭が続く中、修繕等のサービスを売りにした小型の家電店の中にも堅実な経営を続ける企業があります。大型店舗を中心としたディスカウント攻勢の動きの一方で、高齢化社会も視点に入れると、かゆいところに手が届く丁寧な対応にニーズが集中するのもうなずけます。
更に例を挙げると、生活衣料や雑貨を販売する「しまむら」は、1000店ある店舗の店長のうち600名を、地域のパート主婦から起用しています。客層の心理を最も理解できる人を店長に据え、より顧客への理解を深めた店舗展開をしようという戦略です。
今後も人口減少は続き、家計の財布の紐が固い状況も長引くと考えられます。企業は現状のやり方を継続していては、市場は縮小していく一方です。顧客との結びつきをどこに求め、どう顧客のニーズに応えていくのか。そこに自社の市場を拡大するヒントがあるのではないでしょうか。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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