「国家の品格」で著名なお茶の水女子大学理学部教授、藤原正彦氏の話を聞く機会が最近ありました。テーマは今多方面で話題に上っている「教育問題」についてです。
小学校教育で早期から英語やパソコンを学ばせる現在の風潮に対し、氏は異を唱えられていました。「小学校は基礎的なことを学ぶ場であり、もっと国語や算数をとことん勉強させるべき。時間がたくさんあるのならともかく、週20数時間しかない限りある教育の時間においては、優先順位を考えると、基礎的なことを習わせるのが第一であり、まずは国語と算数の二つであろう」というのが氏の意見です。
氏の話によると、インドでは日本の九九を超え、99×99までを算数として教えているそうです。確かにインドは今世界的にもIT産業の中心的位置を占めていますが、その人材基盤はこの算数力にあるのかもしれません。
そして更に氏は、「教育の中心は親中心の教育にあるべき」ということについても、熱っぽく語られ、この点においても大変感銘を受けました。
現在、日本の学校では三桁の掛け算が理解できない人がいるということで、三桁の掛け算自体を教えていないということを聞いたことがあります。円周率の計算すらできない状況とも聞きました。
果たして日本国民として、本当にこれでよいのだろうかと感じているのは、私だけではないと思います。
先日も近鉄電車に乗った折、母子二人連れが降りた後の特急の座席が散らかりっぱなしでゴミがそのまま放置されていました。片付けもせずに平然と降りて行く姿を唖然としながら見ていましたが、これらを見ると、子供の教育以前に親の意識そのものから考え直すべきではないかと感じてしまいます。
日本人はもともと美的感受性が強い民族のはずです。この部分を磨けば、世界における日本人の魅力を再認識でき、日本の国際競争力も一層強まるのではないかと思いますが、そういった基礎的な感覚や教育を後回しにして損なわれつつある今の状況では、日本人が古くから培ってきた素晴らしい能力や感覚もこれ以上育たないのではと危惧してしまいます。
戦後の新しい教育を受けた親の世代も2代目に差し掛かっています。このあたりで意識改革、教育改革を始め、日本人として何が本当に重要なことなのかを国民全体がもう一度考える必要があるのではないでしょうか。社会全体を巻き込む難しい問題ですが、1人でもこのことについて関心を示し、声を出して訴えかけることが大切だと感じています。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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