国税庁の統計によると、平成17年の日本の法人数は258万5,033社。その98.4%が資本金1億円未満の中小企業です。そして、利益計上法人は84万9,530社という数字が発表されています。
今、中堅中小企業の最大の経営課題として挙げられるのが、後継者問題ではないでしょうか。大手銀行が日経新聞等に全面広告を掲載する際も、この「事業承継」というキーワードが頻繁に登場しています。
私が耳にしたある企業も、黒字続きの安定経営で一見すると何の大きな問題もないようでしたが、ただ一つ、「後継者がいない」という重大なリスクを抱えています。この会社に出入りする地元金融機関も、担当者の引継ぎを行う際のメモに、「後継者問題はタブーなので言わないように」と記述されていました。この社長にちょっと踏み込んで、「後継者問題を解決したほうが良いのでは」と提案したところ、「よく言ってくれた」と感謝されたという話を聞きました。
このような事例は数多くあるのではないでしょうか。実際、50代までぐらいの元気な経営者達は、自分のなかでも「まだまだこれから」という気持ちが強く、「後継者問題は…?」と話題にすると不快感を示されることは多くあります。もちろんM&Aについても抵抗感が強いようです。
ところが一方で、最近では逆にチャンスがあれば早めにM&Aを行うべきだという考え方も徐々に広がりつつあります。
少子高齢化が社会問題となっていますが、このことが後継者問題も直撃しています。子供がただでさえ少ないところへもって、豊かな社会によって、家業を継ぐことを好まない子供も増えています。見た目格好悪い業種では、その傾向は顕著です。また、昨今の環境の著しく早い変化から、子供に継がせたくとも能力的に難しいというケースも多々あります。これらを総合すると、後継者がいないと見られる企業は全体の5割以上に達する、との専門家の見方もあるようです。
後継者がいない場合の対策にはいろいろありますが、大きな解決手段として今後ますます注目されるのがM&Aではないでしょうか。見ず知らずの買い手を探してくるケースもありますが、できればその企業を良く知っている人への譲渡が望ましいと考える経営者が多く、最近ではそういった買い手を応援するファンド制度も多種登場しています。
私共、名南経営のM&A担当も最近は案件が増え、多忙を極めています。
企業経営者は、企業価値をしっかりと高めることを努力すれば、場合によってはM&Aによって最大価値を十分享受することができます。早めに方向付けをし、選択肢の一つとしてM&Aも考慮し、いつのタイミングが望ましいのかということを見定めなければなりません。そういった視点も含め、毎年の経営課題をきっちりと取り上げ検討していく必要があります。
中小企業庁もこの問題に注目し、「事業承継ガイドライン20問20答」という冊子を発行しています。適切な例示がたくさん盛り込まれていますので、関心のある方は、こちらも参考にされるとよいかと思います。
参考URL:中小企業庁ホームページ「事業承継ガイドライン 20問20答」
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei20/index.htm
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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