先日、親しい弁護士と話をしていた折、ライブドアの堀江前社長の話が出ました。報道されている通り、堀江前社長と宮内元取締役には第一審で実刑が下っています。これについてその弁護士は、堀江被告の実刑は国策として意図的なものではないかと述べていました。
というのも、同じ時期に起こった日興コーディアルグループの不正について、東京地検は捜査の対象にしていません。ライブドアは53億の粉飾で、それについて堀江被告は「分かっていなかった」と主張しています。これに対し日興は二期にわたって経常利益を合計400億超不正操作していますし、証券マンですから、堀江被告のように「知らなかった」ということはあり得ません。
新聞報道によると、500億円の資金調達をした上に、経営陣の報酬が収益に連動しているそうですので、むしろ堀江被告よりも随分と悪質性は高いものと感じています。それなのに、日興に対しては捜査対象外で、堀江被告には実刑判決とは、あまりにも公平さに欠けるのではないかといわざるを得ません。私の知り合いの弁護士も、あれは国策実刑だと、吐き捨てるように言っていました。
堀江前社長は行為としては悪ではありましたが、多くの若者にとって、彼の生き様そのものは大きな影響力を発揮していました。堀江被告がどのように裁かれるのかは、大いに世間の注目を集めています。
確かに、堀江被告の犯した罪からすれば、法に照らせば実刑も当然の処置かもしれません。しかし、あれだけ上場廃止が言われていたにも関わらず上場維持となったり、その責任者に対する罪の追求において、世間が皆不公平感を持ったり等、納得しづらい点が多くあります。これだけ注目を集めている事件だからこそ、当局は国民に対してそれなりの説明義務があるのではないでしょうか。
たまたまそのように考えていたら、2007年4月2日付けの日経金融新聞の「複眼独眼」の記事で、私と同意見のコラムを見つけました。「経済事犯の公正な処置を」と題したそのコラムは、今回の東証の甘い処置に対する批判を述べていましたが、非常に共感を得る内容でした。
何も罪を容認しているわけではありません。罪はもっと厳罰にすべきであり、私自身の関係している税の問題等についても、もっと租税犯に対する罪の認識を強めるためにも厳罰化すべきと考えています。しかし、現実の執行の場において、このような不公平感が生じてしまうのは問題です。
戦後の混乱時代は「脱税しなければ食っていけない」とさえ言われ、そのころ事業を起こした人の脱税に対する罪の意識の薄さには以前より憂いを覚えています。脱税への罪の意識を持たせるには、小学校から租税教室を充実し、教育していくことも必要なのかもしれません。脱税事件は他の経済事犯に比べると、「悪いことをした」という感情よりも「運が悪かった」という感情で済まされることが多いのも事実です。その考え自体が問題であり、考えを改めさせるためにも、脱税に対してもっと厳しくしていくという政策も必要ではないでしょうか。そして、その執行については、不公平感が生じないよう、公平に執行されることを望むばかりです。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
|