2007年4月27日付けの中日新聞に、「中小企業対策」と題する社説がありました。まずは同記事を抜粋でご紹介します。
「景気回復による大企業の大量採用で中小企業に人が集まらない。特に技術革新や中核業務を担う人材が足りない。団塊世代と中小企業の出会いを活発にするなど採用の間口を広げることが必要だ。」
「従業員百人以上の中小企業では、90年に270万人だった非正規雇用者が06年には2.5倍に膨らんだ。十分な社内教育もできず正規、不正規ともに能力が向上せず、大企業の大量採用も加わって、欲しい人材の確保が一層きつくなった。」
「自助努力を貫くには経営を支える人材が欠かせないが、白書は中小企業の多くが「競争力を向上させる中核的な人材」を欠いて業績が上がっていないと指摘する。中小企業は中途採用しても給与水準が低いので離職率が高い。大企業との賃金格差が事態をさらに悪化させている。日本商工会議所は、こうした窮状を乗り切るため、中小企業と、大企業の社員や退職者とをつなぐ「マッチング事業」を始めた。だが、登録者数は七千人にとどまり、出会いが成立したのは三千件と数少ない。」
「中小企業対策は資金の円滑供給が最重要課題だが、人材確保がままならぬ今こそ知恵を絞るべきだ。登録者と人材を求める企業双方のきめ細かな情報を蓄積したデータベースをつくり、成立件数を増やす。そんな後押しが必要ではないか。」
私も以前より中小企業の人材確保の課題については指摘してきましたが、上記社説を読み、この問題の深刻さを再認識しております。特に今後どっと市場に出てくる団塊世代のマッチング事業は重要な意味を持つと思いますが、それがこの成約数に留まってしまっているとなると問題も大きいのではないでしょうか。
問題解決のためには、まずはこのマッチングの仕組みの認知度自体を高め、企業側、団塊世代の退職者達の双方が積極的に利用する仕組みを作ることが重要です。
まず働く意志のある方の登録件数を増やすために、登録しやすい仕組み作りを整備する必要があります。例えば新聞に簡単な求職者コーナーを設け、低料金で登載できるようにするなど、手軽で、かつ目に付きやすい場を広げることが望ましいでしょう。
また、団塊世代の退職者の再就職を阻む大きな原因の一つに、再就職先の賃金の低さが挙げられます。団塊世代の求職者の中には、希望の賃金が得られないことを理由に、再就職の機会を逸しているケースも多々あります。しかし賃金の高さに固執していては、なかなか再就職の道も開けません。賃金が思い通りでないという理由で、活躍の場が得られずにいるというのは、非常にもったいない話です。
この際、過去の実績や収入にとらわれることをやめ、新人で就職する謙虚な姿勢となり、就職後に自身の能力で高い評価・賃金を勝ち取るぐらいの気持ちが必要なのではないでしょうか。もともと勤勉で経験豊富な世代ですから、新しい場で能力を発揮し地位を築くことも十分可能です。
また、学生が企業で仕事を体験する「インターンシップ」のように、団塊世代の退職者達へのインターンシップ制度を中小企業が設けて、自社の企業風土を実感してもらうというのも一つの手段として面白いと思います。新しい環境に身を置くという不安を払拭できますし、企業側もその人材の能力や自社への適合性を見極めることができます。
また、団塊退職者の中には、給料や待遇よりもむしろ居心地の良さを再就職先に望む人たちも多く存在します。定年を迎えてからの再スタートですので、あくせく働くというのではなく、気楽な環境で自分の能力を発揮したいという人たちです。彼らにとっても、インターンシップ制度による体感は大きな意義を持ち、面白い効果が生まれるのではと考えます。
商工会議所等のマッチングの仕組みだけでなく、もっと団塊世代と中小企業を結ぶルートが増えるよう、様々な方面で知恵を絞ってこの人材難の課題を解決できるとよいのではないでしょうか。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
|