日本経済新聞で2007年7月に連載された「私の履歴書」は、あの長嶋茂雄氏でした。毎日楽しみに拝読しましたが、特に氏が立教大学時代に出会った砂押監督にまつわるエピソードは、大変興味深いものでした。
当時31歳の血気盛んな砂押監督に鍛えられたくだりは、7月6日の記事に掲載されています。まずはその壮絶な指導について、記事を引用しご紹介いたします。
「伝説となった月夜のノックだが、月のない夜もある。ボールに白い石灰をなすりつけただけ。暗闇の底から「いくぞ」と監督のしわがれた声とともに強いゴロが飛んでくる。「いいか、長嶋、ボールをグラブで捕ると思うな。心で捕れ、心で!」
そのうち「おまえはまだグラブに頼っているのか。そんなもの捨ててしまえ」と怒鳴る。エラーをするとすぐグラブを外せ、となる。骨折の危険もある。だが、素手で捕ると球際が強くなって変化に対応できるようになる。一番やさしいところでバウンドを処理するのがフィールディングの極意だ。真剣に球と勝負していくと、それが分かってくるから不思議だ。」
「打撃練習で三時間、ぶっ通しでマスコットバットを振る。投手は入れ代わり立ち代り七人。そこまでしないと土台ができない。練習しすぎで翌朝、腰が曲がらずトイレでしゃがめない。どうしようもなく中腰のスタンダップ姿勢で用を足したこともある。
バットで殴られようが平気で耐えられた。よくヘマをやるからこの野郎と頭を殴られる。気合が入っているから痛くなかった。今やったら大問題になるだろう。」
日経新聞2007年7月6日「私の履歴書」より引用
今の時代から考えると、物凄いシーンが書き綴られています。しかし氏はその苦労をおくびにも出さず、華麗なプレーとその人柄で観客を魅了しました。相当な特訓を積んでいるイメージは表にはあまり出さず、むしろ華やかな部分ばかりが私達の印象には強いのですが、その根底では、血のにじむような努力をされていたのだと知らされた一文でした。
考えてみれば、プロでやっていくには、それ相当に練習はすさまじく、壮絶であることは当たり前のことかもしれません。しかし私達は、華やかな一面にばかり目を奪われ、その裏の見えない土台の部分を忘れがちです。
プロほどよく練習するものだということの重みを、氏のエピソードから再認識させられました。私自身も「学びて知らざるを知る」をモットーとしていますが、野球だけではなく、別の分野でプロとして仕事をしている私達も、より深め、より極め、勉強し続けることが大切であるということを、改めて氏から学ぶことができました。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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