最近、ブックオフコーポレーション創業者の坂本孝氏が会長を辞任しました。その理由は、取引先から巨額のリベートを受取っていたことが社内調査で判明したためです。日本経済新聞によると、氏にはセクハラ疑惑も持ち上がっているとのこと。成功者の最後にしては、あまりにさんざんな結末と言えるのではないでしょうか。
私は以前、氏の講演を聴いたことがあります。いろいろな職を転々とし、苦労を重ねてブックオフにたどり着き、大きな成功を収めた話を、感動して聴いたものです。
古本回収というある意味マイナーな仕事を仕組み化し、上場にまで持っていった経営感覚は、評価されるべきものといえましょう。しかし巨額なリベートを個人的に受取ることがあからさまになり、今までの評価を一挙に下げることとなってしまったことは、とても残念に思います。
「才あって徳なし」という言葉を先人から聞いたことがありますが、いくら才に恵まれ高い能力を発揮したとしても、品性に欠く行動で徳を失い失脚するのは、残念なことです。
フランスのことわざで「noblesse oblige ノブレスオブリージュ」というのがあります。日本語に訳すと「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」という意味です。欧米社会では基本的とされる道徳観ですが、身分の高い者はそれ相応の果たさねばならぬ社会的責任や義務があるということを端的に教える言葉です。
かつてのダイエーの故中内氏も、あれだけの巨大企業にしたのに、晩年にやはりあのような形で評価を下げてしまいました。
今回の坂本氏の事件も、人生の形を全うすることの難しさを改めて知らされた事件です。と同時に、今の時代、コンプライアンスの面からいっても、経営者の責任はますます重くなっています。特に規模の大きな企業は注目も集まりやすく、余計に責任の重さを感じさせる事件でした。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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