2007年8月9日付けの日本経済新聞で、政府税制調査会の香西泰会長による日本記者クラブでの記者会見の様子を報じられていました。記事によると、香西会長は「秋以降の税制改革論議で、退職金や年金への課税強化を検討する考えを示した。」とあります。
現在の退職金の課税は、課税所得から差し引ける控除の額が勤続年数に応じて決定され、勤続年数が長いほど税負担が軽くなる仕組みです。香西会長はこの制度について「終身雇用を前提にしているように思える」と指摘し、ここにメスを入れる考えのようです。
退職金課税については、外資系の企業などの社員が5年程度で次から次へと退職をする形を取って、日ごろの給与を少なくし、退職金を多く取り、退職金課税のメリットを短期間で受ける節税の事例が相次ぎ、問題視されていました。
退職金の税額は勤続20年以下の場合は年40万円の控除があり、控除額を差し引いた残りの1/2に対して課税されるという、給与所得の税率とは比べ物にならない優遇措置が取られています。そのために上記のように節税策としても活用され、問題提起に繋がっていますが、日本の雇用慣行であった終身雇用が崩れている今、果たしてこの優遇策が良いのかということにも焦点が当てられます。
そういう意味では、今年末の税制改正において、退職所得控除の見直しが組み込まれる可能性が大きいのではないでしょうか。
そうなると、会長職など中小企業のトップとして長年勤め、そろそろ退職を考えているという人には、退職金に特に大きな影響を与えることになるでしょう。
例えば勤続40年で退職金を1億円受け取るとした場合、現行税制でいくと、税額は1280万4000円となります。もし控除額が圧縮されたり、1/2課税がなくなるとすれば、税負担が飛躍的に増えることになります。
時代の流れからは、退職金課税は強化される方向にあると思われます。そろそろ退職を考えていらっしゃる方は、退職金課税が強化される前の退職もひとつの方法ではないでしょうか。
名南経営センターグループ 代表
税理士・不動産鑑定士・CFP 佐藤澄男
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